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デキるビジネスマンの英会話講座「Check, please.」お会計編

コラム

 Cash outのような自然な表現を学ぶのも大切ですが、アメリカのようにチップ制度のある文化では、誰にWe can cash out.と伝えるかのほうが、日本の文化に慣れている人には難しいかもしれません。

 例えば日本でレストランや飲み屋に行って何か飲み物や食べ物を注文するとき、どの店員さんに注文しても問題はありません。会計についても、誰にお願いしても問題はありません。しかしチップ制度のあるアメリカでは状況が違います。

 アメリカでレストランや飲み屋に行くと、まずは店員さんの1人が席に連れて行ってくれます。座った席には、その席を担当する店員さんがいます。したがって、席について少し経つと、席に連れて来てくれた店員さんとは違う店員さんが、

Hello. I am Sara. I will be taking care of you.

「こんにちは。サラです。私が皆さんを担当します」などと挨拶に来ます。あらゆる注文は、その店員さんだけを通して行われます。つまり、別の店員さんを見つけて注文しようとしても、担当の店員さんでなければ注文を受け付けてもらえないこともあります。

英語の表現以上に大切なのは「文化の理解」

チップ

 言い換えれば、担当の店員さんは常にみなさんの飲み物や食べ物の状況に気を払っているということ。

 会話の邪魔をせず、しかし必要なときに来てくれる店員さんのチップは弾むでしょう。逆に会話の邪魔ばかりであったり、必要な時に気づいてくれない店員さんのチップは少ないものになるはずです。

 実際、この文化に慣れていない日本のビジネスパーソンがアメリカのレストランやバーで担当ではない店員さんに注文をしたり、勘定をお願いして混乱を引き起こした様子を目にしたことがあります。

 慣れるまではやや不便と感じる文化差かもしれませんが、英語の表現以上に大切な知識かもしれません。

<TEXT/木内裕也>

会議通訳者、ミシガン州立大学研究者。アメリカ大衆文化、アメリカ史の研究を行うほか、国際一流企業、各種国際会議などの通訳を行う。またプロサッカーの審判員としても活躍。著書には『同時通訳者が教える 英語雑談全技術』『耳と口が英語モードになる同時通訳者のシャドーイング』(ともにKADOKAWA)など多数。英語で仕事をする人の応援サイト「ハイキャリア」にも執筆

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