ネットにさらされた個人情報はいくら払えば削除できる? 相次ぐ「バイトテロ」問題から考える
裁判所の仮処分、訴訟となると費用は増額する
清水弁護士は、前出のやり方のほかに、「裁判所の仮処分を利用する方法がある」と続けます。
「3つ目の裁判所の仮処分を利用する方法では、投稿を“仮に”削除するという裁判所からの命令が下されることになります。“仮に”とはありますが、管理者が命令に応じれば、終局的に削除されることになります。裁判所の命令ということもあって、管理者はまず応じてくれるというメリットがありますね」
裁判所を利用するとなると、一気にハードルが上がる気がします。管理者が削除に応じてくれやすいといったメリットもあるそうですが、やはり相応の費用がかかるそうです。
「仮処分の申立てには、申立ての際に必要な印紙・郵券(切手)代がかかってくることになります。また、仮処分命令の発令の際には、担保金を要求されることになり、現金で30万~50万円の用意が必要となります。通常は、この担保金は一定の手続きを経て戻ってくることが多いのですが、一時的に現金を用意する必要があることには変わりはありません」
最終手段として削除を求める訴訟を提起も
さらに、ツイッターやフェイスブックなど海外法人に対して仮処分の申立てをする際には、申立書を翻訳する必要があります。
「これも翻訳手数料が必要となります(量にもよるが数万~数十万円)。それに加え、海外法人の登記を入手する必要があり、時間と費用がかかります。これにプラスし、着手金が10万円から30万円、成功報酬として10万円程度(ともに1件~)の費用となるのが相場です」
また、清水弁護士によると、「ほとんどがこの「仮処分」で足りることもありほとんど使われないですが、最終手段として削除を求める訴訟を提起するという方法もあります。費用は着手金が20万円から30万円、成功報酬として20万円~が相場です」とのこと。
今回紹介した方法は、ある特定の記事やページを削除したいときには有効だと感じましたが、個人情報を無数に晒されている状況では、労力と、そして費用も莫大にかかることが分かりました。また、すべての情報が削除される保証はどこにもなく、永久的に誰もが見れる情報としてネット上に出続ける可能性が限りなく高いと言えそう。
当人たちにとっては悪ふざけのつもりでも、とてつもない代償を払うことになりかねない昨今のネット事情。安易な投稿は自身の身を滅ぼすことに繋がります。SNSの使い方を今一度見直す必要があるかもしれません。
<取材・文/ロケット梅内>