大坂なおみ、世界1位を成し遂げたチームの「分析力」
テニス・全豪オープンでペトラ・クビトバ選手に決勝で勝ち、世界ランキングにおいてアジア勢初のシングルス1位に上り詰めた大坂なおみ選手(21歳)。
昨年、夏の全米オープン初優勝に続き、テニス四大大会2連覇を成し遂げ、テニスファンのみならず、多くの観客を湧かせました。
1月28日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)ではデータ分析や、関係者の証言から見えてきた、大坂選手の躍進の秘密が紹介されました。
大坂なおみチームは詳細映像で弱点を分析
彼女のチームは、試合会場にカメラを複数台設置し、試合中の動きを撮影し、分析してきました。
ラリーのポイント獲得率のデータによると、昨年の全豪オープンでは、ラリーの際に、左サイドのバックハンド側から打ち返すことを苦手としていたことが分かったそうです。今大会では、フットワークを向上するトレーニングをおこなったことで、コートのどこから打ち返しても、約60%の確率で点を獲得することができるようになりました。
専属トレーナーのアブドゥル・シラー氏は「去年はボールに追いつけない場面が目立ちました。(大坂選手には)サッカー選手並みの敏捷性とスタミナが必要だった」と番組のインタビューに答えています。そのため、オフシーズンはラケットを握る時間を減らし、下半身を強化するトレーニングメニューを作成したとも。
トレーニングの甲斐もあって、この1年で体重を10キロも絞り、フットワークが軽くなり、ベースラインより前に立ってサーブが外に逃げる前に打ち返すことができるようになったといいます。
「3セット目の彼女は、まるで別人」
全豪オープン女子決勝では、第2セットでチャンピオンシップポイントを獲得し、優勝目前までクビトバ選手を追い詰めました。しかし、あともう少しのところで、逆転を許してしまい、セットを失ってしまいました。目に涙を浮かべているシーンは印象的で、多くの人がニュースで目にしたのではないでしょうか。
そして、続く第3セットで大坂選手は、見事に気持ちを切り替え、優勝します。対戦相手のペトラ・クビトバ選手は「3セット目の彼女は、まるで別人でした。新しい試合が始まったかのように落ち着いていた」と、メディアの取材で大坂選手を讃えています。
大坂選手といえば、ビッグサーバーというイメージでしたが、フィジカルを強化することで、隙がまったくないオールラウンダーの選手へと変貌を遂げたのです。