職場のほぼ全員が“新興宗教”の信者。30代社員「入信しないと昇進できない」
フラットな職場環境で若手が早くから活躍でき、服装規定もゆるい。そんなイメージを抱く人も多いベンチャー企業ですが、実際の仕事は当然、ラクではありません。
そこで、「bizSPA!フレッシュ」で過去に掲載した記事の中から特に反響の大きかった「スタートアップ企業苦労話」にまつわる人気記事を再掲載します(初公開2019年6月12日、情報は掲載当時のものです)。
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20代最後の年に「今よりももっと成長したい」そう、思って転職を決意した田中鉄平さん(32歳・仮名)。彼が飛び込んだのが、あるアパレル会社でした。
「外資やベンチャーに強い転職エージェントに相談したところ、あるアパレル会社を紹介されました。僕はファッションに疎く、若い女性に人気のブランドと言われてもピンと来なかったのですが、待遇に惹かれたんです」
給料ダウンでも入社を決めたワケ
転職先から提示されたのが経理の課長職。田中さんのスキルと経験を買っての提案とのことでした。
「20代で役職が付くのは、伸び盛りの会社だからと良いほうに解釈しました。東証一部上場の前職より手取りは多少下がりますが、自分を高く評価してくれたのが嬉しくて。それに定時退社なら多少の給料ダウンもしょうがないかと」
しかしやる気を胸に抱いて出社した第1日目から違和感を覚えたそうです。
入社1日目から抱いた違和感
「朝礼の風景が異常なんです。全員が大声で『ありがとうございました』『お疲れさまでした』と担当者の発表に大声で連呼。でも、なかには声を出せない女性もいるじゃないですか。そんな人に『なんで、もっと声だせないんだ!』って怒号を浴びせているんですよ」
さらに驚いたのが社長への接し方だ。社長が現れると、まるで独裁国家の指導者に接するように、全員が頭を下げて神妙な面持ち。「あがめている」という表現がしっくりくる雰囲気だったそうです。
「その会社がブラックだと気付いたのは、入社後1週間のことですね。定時が来ても、いつもどおり働いていたんです。そうしたら部長が僕のところに来て、『君、わかるよねぇ』と勤怠ソフトの退社操作をするように圧力を掛けてきたのです」