格差が広がる「消費増税」をしたがる国のウラ事情。なぜマイナンバーを活用しない
消費増税は所得格差の是正につながるだろうか? データを重視した数量理論を展開する、嘉悦大学ビジネス創造学部教授・髙橋洋一氏が、新刊『財務省、偽りの代償 国家財政は破綻しない』より、得意の論法で財務省の主張を論破する(以下、同書より)。
機会と結果の平等、どちらを確保すべきか
貧富の格差是正に100%の解決方法はない。要は、平等というものをどう考えるかだ。「機会の平等」は確保すべきで、どんな人も同じチャンスを持つべきだが、「結果の平等」は確保できない。要するに、みんな平等に働ける機会だけは確保しておく必要がある。
その結果としてお金持ちになるか、そうではないのか道が分かれる。ただし、結果の平等は確保すべきではない。それを確保してしまうと、働いても働かなくても同じになってしまうからだ。結果の平等は確保してはいけないというのは、経済学の基本だ。
貧富の格差を補うのが累進課税制度
とはいえ、貧富の差がすごく開きすぎたら看過できないということになる。それを補うのが累進課税制度だ。たくさん稼いだら、その分だけたくさん税金を納めるという方法で経済格差を調整する。
いくら制度の対象が富裕層だといっても、所得の100%を税金として取るわけにはいかないから、この制度をもってしても結果の平等は確保できない。どの程度まで結果の平等を確保するかは国によって違う。民主主義国家なら、みんなで政治家を選んで決める。だから正解はない。
日本だけで見れば、たしかに昔と比べて格差は広がったといえるかもしれないが、こういうケースは世界で格差がどうなったかを見たほうがいい。他国でも広がり方は似たりよったりだ。