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形式的な入社式、コロナ禍入社の苦悩…ドラマ『悪女』が描く“令和の会社員”が超リアル

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 コロナ禍で職場環境が大きく変容した勤め人の葛藤をよくぞここまで、清々しく、爽快に描いたものだ。

『悪女~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』公式サイトより

『悪女~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』公式サイトより

 今田美桜主演のドラマ『悪女~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ系・毎週水曜夜10時~)は、2022年4月、現時点までの慌ただしい時代性を、総括するかのように鮮やかに映し出す。

 今回は、「イケメンと映画」をこよなく愛するコラムニストの筆者、加賀谷健@1895cu)が本作について、独自の視点を交えて解説する。

今期最注目の春ドラマなワケ

 歩道をひた走る足元。入社式会場に駆けつけた田中麻理鈴(今田美桜)は、だいぶ早く到着した様子だ。出社してくる社員たちの顔を確認しながら、はきはきと挨拶する。

 入社式では、社長の挨拶を新入社員のひとりとしてメモを取りながら聞き入るのだけれど、どうやら先輩社員からすれば、毎年同じことの繰り返しで耳にタコができる、長ったらしい儀礼に過ぎないその挨拶。オフィスフロアのモニターで一応姿勢を正して聞いている社員たちそれぞれの心の声が切実で、リアルなのも聞き逃がせない。

 社長の曽祖父の代に呉服屋から創業したオウミは、今の社長の代でIT化をはかり大躍進をとげた大企業。女性の職場環境づくりが目指されたようだが、人事部の夏目聡子(石田ひかり)からしたらあまり体制は変わっていないよう。さらにコロナ時代に合せたリモートワークも結局は定着しなかったとぼやくのは、エンジニア部の川端光(近藤春菜)。

会社員の職場環境がリアルに描かれる

 最先端システムというものは、どこの企業も社長のひと声で導入してみるのだけれど、たいていは途中で空中分解するように見送られていたりする。リモートのほうが絶対に快適だという社員の心情とは裏腹に、いつの間にか出社する慣習が戻っているのが、多くの企業の現状である(かくいう筆者もまた、以前勤めていたイベント会社で出社義務に対する強い懐疑を持ったひとりだ)。

 サラリーをもらっている以上、組織人として多少の理不尽と不都合は、甘んじて受け入れなければならない……。本作ではそんな会社員たちを巡るリアルタイムな職場環境が点描される。まさに2022年4月現在の状況を見事に映しとりながら、混迷する令和の時代を総括する今期最注目の春ドラマと言えそうだ。

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