他人の言葉に振り回されてしまう人の共通点9つ。反論したり、怒ったりしない
なにげない言葉がずっと頭から離れずに、家に帰ってからも、休みの日もそのことばかりを考えてしまうことってないでしょうか? 意味がないとわかっているし、気にしてもしかたがないと自分を言い聞かせようとしても、ふと気づくとそのことばかり考えてしまっている……。
そんな無駄な時間と、意味のないことに頭が乗っ取られてしまっている自分の弱さを責めてさらに落ち込んでしまう。「もしかしたら、なにか意味があるのかも?」。そんなことも考えてしまう。
仕事でも、上司やお客さんの言葉に振り回されてしまうということもよくあります。これが私たちの仕事のストレスの多くの部分を占めています。そんな事例を『プロカウンセラーが教える他人の言葉をスルーする技術』(みき いちたろう、フォレスト出版)をもとに紹介します(以下、同書をもとに寄稿)。
上司や顧客の言葉に振り回される
真面目なBさんは、仕事でも人の話をよく聞くことを心がけています。メモもしっかり取ります。新入社員の頃はそれで良かったのですが、年次が上がってくるにつれて、なぜかうまくいかなくなってきました。
仕事も複雑になってくるし、関係者の間での調整も必要になってくると、話をよく聞くことで徐々にそれに振り回されるようになってきました。とくに、異動になって上司が変わってからはそれが顕著です。
上司はなかなか癖のある人で、言うことが曖昧だったり、よく変わったりします。もっとも困ったのは、「俺が言ったことを理解していない」と言われること。これが真面目なBさんには一番こたえます。「えっ? なんで??」という戸惑いを覚えます。
ノイローゼ気味になってしまう
「人の話を聞けない人間」というのはBさんの目指すものとは真反対だからです。そうはなりたくないと思って一生懸命頑張ってきたつもりでした。しかし、聞こうとすればするほどうまく聞けなくなってきます。それでも、なんとか上司の顔色をうかがってみたり、昼食時の雑談で得た情報から上司の意図を把握しようとしていました。
しかし、在宅でのリモートワークの機会が増え、ZoomやTeamsで打ち合わせをするようになると、そうしたこともできなくなります。今まで以上に上司の言葉をしっかり聞き取ろうとしますが、「理解できていない」と上司から言われることが、ますます増えるようになりました。次第に、Bさんはノイローゼ気味になってしまったのです。
さらに、これがお客さんとのやり取りでも生じるようになります。「要望を汲めていない」と客先の担当者から小言を言われてしまったのです。頭を殴られたようなショックをBさんは受けます。この顧客は急な依頼や変更が多いことで有名で、それでも頑張って一生懸命対応してきたつもりでした。
うまく仕事をしている様子の先輩に相談すると「そりゃ、ニーズを理解して、しっかり話を聞くことだね」なんて答えが返ってきて(一生懸命やっているんだけどなあ……と)ますます落ち込んでしまうのでした。