大学生の葛藤に寄り添う人気漫画家の思い「他人との差なんか気にしなくていい」
おしゃれカルチャーグループに近づこうとしたり、スタバでバイトしているフリをしたり……人生で一番背伸びをしようとする時期、大学生。漫画家・サレンダー橋本氏が、パリピもオタクも大嫌いな主人公・亀田哲太の全く成長しない4年間を描いた青春地獄マンガ『全員くたばれ! 大学生1』(扶桑社)。
2019年より「週刊SPA!」で連載した本作を今回、よりぬきで特別に掲載。さらに「友達のいなかった大学時代を思い出し、奥歯を食いしばりながら描きました」というサレンダー橋本氏に、前編に続いてインタビューも敢行。ぜひ自分の大学生時代を思い返ししながら読み進めてもらいたい!
【マンガ『全員くたばれ! 大学生』第一話を読む】⇒次へ>をタップすると次の画像が見られます
【マンガ『全員くたばれ! 大学生』第二話を読む】⇒次へ>をタップすると次の画像が見られます
【インタビュー前半を読む】⇒「とんでもないものを引き受けた」人気漫画家が”三足のわらじ”を履いて描きたかったもの
クラスの誰を友達にするかの探り合い
――『全員くたばれ!大学生』のなかで一番自分の経験が活かされている部分は?
サレンダー橋本:実体験が元になっているので、いろいろあります。ただ、1巻目にある(主人公の)哲太が大学入って、すぐに仲良しグループが作られるところ。クラスの誰を友達にするかの探り合いは実経験そのものですね。
――実際はどんな体験をしたんですか?
サレンダー橋本:学科の基礎演習みたいなクラスがあって、基本は自由に講義を選べるんですが、そこだけは色々な学部がいっしょになるんです。僕は、そこで躓いた。
ただ、ひとりだけクラスメイトに広島から来た男がいて、わりとすぐ仲良くなって、彼の家に行って一緒にハンバーグを作ったりして、「こいつと4年間で思い出を作るんだろうなぁ」と思っていたら、すぐ1番大きなグループに彼だけ吸収されていて(笑)。
リアルな部分だからこそ面白い
――あー、なかなか残酷ですね…。
サレンダー橋本:「俺も仲間に入れて」が言えず、そこからは孤立の道です。18、19歳の、まだ子供みたいな年ごろの人たちが、異性の目があるなかで、誰と行動するのかってかなり本音が出てくると思います。ただそこがリアルな部分だから残酷で面白いんですが。
――それでサレンダーさんはどうしたんですか?
サレンダー橋本:結局クラスでは友達が作れなくて、サークルの落語研究会に見学に行ったんです。それで先輩のネタを「全然面白くないなぁ」と偉そうなスタンスで聞いていた。自分は何の芸もやらずに、先輩の芸の批評だけをやっていたんです。そしたら、もう1人偉そうなスタンスで聞いていたやつがいて、そいつと仲良くなりました(笑)。
彼は、たまたま僕と同じくサークルに入る時期が遅くて、ほかの同級生はもう仲良くなっていたのに、僕ら2人だけ嫌われていて、「何もやらないのに偉そうだ」と。ただ、それでもその男とは4年間いっしょだったし、今もたまに連絡を取り合って仲良しです。