売上が9割減った店も…飲食店の怒りの声「どこも失業中みたいなもの」
度重なる緊急事態宣言の発令と延長に、国民の「宣言疲れ」は顕著だ。とくに飲食店は、具体的な対策や十分な補償が示されないなかでの宣言延長に、不安や失望を隠せない。時短営業や休業要請に応じた飲食店に対する協力金の支給遅れも問題化している。4度目の緊急事態宣言発令時に協力金の先払い制度を導入したが、対応には批判の声が多い。
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年内には元の営業に戻れないのではないか
東京・池袋に店舗を構えるイタリアンバル「赤バルRETZE(レッツェ) 池袋店」は、政府の要請に応じて時短営業や酒類提供の停止を行っている。店内ではアルコール消毒や検温の実施など感染対策を徹底。また、社員やスタッフの半数以上は2回のワクチン接種も終えているという。
そんななかで迎えた今回の緊急事態宣言延長(9月12日まで)に対して、営業部長の寄木一真さんは「お店としてやることは変わらない。現在の感染状況や変異株の感染力を見ると、年内は元の営業に戻れないのではないか」と冷静に状況を捉えている。
同店では夏になるとビアガーデンを開いて盛況を見せるというが、もちろんコロナ禍では中止。それによって、今夏の売上は例年の約1割ほどに落ち込んでいる。東京・赤羽にある系列店「赤バルRETZE 赤羽店」も含めると、売上の下げ幅はさらに大きいという。
休業協力金の支給は「遅いし、不透明」
そうした状況下で、協力金の支給については「協力金が出るスピードが遅いし、タイミングも不透明。先払いすると言っているが、これまでの協力金が支払われていないのに、先払いはおかしい。それができるなら、支払われていない分を出せるのでは」と疑問を呈する。
先行きが見えないなか、同店は何とか自分たちで道を切り拓こうとしている。今年7月には、自家製冷凍ソーセージの全国通販を開始した。系列の赤羽店では、今年3月に「王様のたまごパン」という新しいテイクアウトメニューを発売。多いときには月1000本も売り上げる人気メニューとなった。今年9月には、新たなテイクアウトメニュー「王様のマリトッツォ」の販売も予定している。
「いまは、コロナが収まったあとにお客さんをいっぱい呼ぶための種まきをしている」