お店のラーメンも自販機で。飲食業を助ける冷凍自販機「ど冷えもん」ヒットの裏側
うんざりする緊急事態宣言が続き、飲食店が集中的にダメージを受けているなか、ある商品が話題になっています。お店の料理を冷凍して24時間販売できる冷凍自動販売機「ど冷えもん」です。
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時短営業を余儀なくされた飲食店の味が、ほぼ変わらないまま、いつでも好きなときに食べられると話題になっています。開発元のサンデン・リテールシステム株式会社は、流通システム事業として「冷やす・あたためる」をコア技術とし、日本だけではなく海外でも展開。今回は当時の新商品企画部の部長、小沼健夫氏(現在総務部部長)に話を聞きました。
開発は「コロナ前から始まっていた」
実は、ど冷えもんはコロナと関係なく、2019年3月に開発スタート。コロナ前から売れ始めていた冷凍食品に焦点を当てていたとのこと。
「もともとうちはコンビニエンスストア向けのショーケースを作っていたのですが、冷凍食品の売場面積が非常に増えており、家庭用から個食の冷凍食品のニーズが高まると予想しました。ただ、去年の春ごろからコロナがどんどん広まり、予想よりも早く需要が高まるのではないかと急遽、開発スケジュールを前倒しして発売しました。ちなみにネーミングは『すごくよく冷える』という意味合いで弊社代表がつけました」
2021年1月にリリースしてから、現在では「計画を大幅に上回る注文がある」というが、開発過程は試行錯誤の日々だった。
「飲料系の自動販売機だと、庫内の構造に商品を合わせるのがお決まりでした。飲料メーカーは複数ありますが、ペットボトルや缶の大きさはほぼ統一されていました。しかし、冷凍食品メーカーはあらゆる形のものを作るので標準化できません。自動販売機側が製品に応じて、ストック棚を合わせないといけなかったのです」
冷凍食品は「1個につき200回のテスト」
そこで開発チームは、世の中にある300種類ほどの冷凍食品をリストアップし、サイズと重さを測って、すべてが入る可変式の棚を作りました。
「1個の商品で200回テストしました。1回でも商品が取り出し口に出なかったらNGになります。あとはバランスも非常に大切です。自動販売機が揺れて、どちらかに偏ってしまうと、商品が落ちなくなってしまう。今は内部に2~4種類の棚を自由に組み合わせることで、業務用の非常に大きなモノ以外でしたら、大きさによってストックできる量は異なりますが、最大11種類、308個をストックできます」