スシローが過去最高売上に。コロナ下の寿司チェーン、勝ち組・負け組の違い
2020年はコロナ一色とも言える年になりそうです。感染拡大だけでなく、経済にも大きな影響を及ぼし、なかでも飲食業界は大打撃を受けています。11月13日には「ガスト」や「しゃぶ葉」などを展開するすかいらーくホールディングスが全国200店舗の閉店を発表。この他にも多くの飲食店が閉店を余儀なくされています。
そんな逆風の中、売り上げを伸ばしているのが回転寿司「スシロー」を展開する株式会社スシローグローバルホールディングス(以下、スシローグローバルHD)です。スシローグローバルHDは、11月6日に2020年9月期実績を発表。売上収益が前期比2.9%増・2049億円と、過去最高を達成しました。
なぜ収益を伸ばすことができたのでしょうか。また、他の寿司チェーンの動向はどのようになっているのでしょう。『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(扶桑社新書)を出版、円相フードサービス専務取締役として自身も多くの飲食店の経営に携わっている稲田俊輔さんに話を聞きました。
回転寿司はまだ「マシ」な業種
はじめに稲田さんは、コロナはあらゆる飲食店に大きなマイナスの影響を及ぼしていると前置きした上で、「(回転寿司は)他の業種よりも“マシ”」と指摘します。
「大口の宴会需要に頼ってきた居酒屋業態や、会合や接待の比率が高かった高級店のほうがよほど大きなダメージを受けています」
団体での利用が多い居酒屋や「密」を引き起こしやすい飲食店のほうが影響が大きいようです。また、コロナ禍で需要が高まったテイクアウトと回転寿司の「相性の良さ」についても指摘します。
「あらゆる業種の店がテイクアウトやデリバリーに力を入れていますが、もともと出来立ての料理を店内飲食で提供する前提で営業してきた店が、どこもそう易々とそれで勝負できるようになるわけではありません。その点、寿司は、そもそも出前や持ち帰りのイメージも強い商品です」
寿司チェーンの「勝ち組」と「負け組」
寿司チェーンはスシロー、くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司が店舗数で見る大手4社となります。この中で現在好調といえるのが、スシローとくら寿司です。
くら寿司は人気漫画『鬼滅の刃』とのコラボレーション企画が功を奏し、8月以降の全店売り上げは昨年対比で100%を上回り続けています。コロナの影響により最も悪かった4月には昨年対比54.7%まで落ち込みましたが、業績を回復させることに成功しています。
スシローとくら寿司が大手寿司チェーンのなかで、コロナに適応することに成功したと言える形となっています。その要因について、稲田さんはどのように分析しているのでしょうか。