バイデン次期大統領の対韓政策を予想。冷え込んだ関係は改善されるか
次期大統領のジョー・バイデン氏は11月12日、韓国の文在寅大統領と電話会談を行った。バイデン氏は韓国を防衛する意志とともに、北朝鮮の核問題を解決するため緊密に協力する考えを文大統領に伝え、大統領就任後早期に米韓首脳会談を開催する方針を確認した。
またバイデン氏は、文大統領にインド太平洋構想に向けて韓国が緊密に協力することを期待すると述べ、韓国の新型コロナ対策を評価したという。
では、バイデン政権が誕生したら、具体的にどのような韓国政策を進めていくのだろうか。
これまでになく冷え込む米韓関係
まず、トランプ政権下で冷え込んだ米韓関係が両者によってどう改善されるかがポイントとなる。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、香港国家安全維持法や中印国境での衝突なども影響し、インドとオーストラリアがこれまでになく反中感情を露にするなか、日米豪印の「クアッド安全保障協力」が加速化している。
文政権は中国や北朝鮮を配慮し、クアッド協力に積極的に関与する姿勢を示さない。10月にペンタゴンで行われた第52回米韓安保協議会で、両国は防衛費分担金問題などを巡って激しく衝突。共同声明から「在韓米軍の現水準を維持」という表現が取り除かれ、予定されていた両国国防トップの記者会見も中止される事態となった。
また、韓国が悪化する日韓関係を問題に挙げ、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄をちらつかせたことから、トランプ政権下で米韓関係はこれまでになく冷え込んでいた。
バイデン・文の関係性でも摩擦が
冒頭で述べたように、バイデン氏は文大統領にインド太平洋構想における「米国の同盟国である韓国の役割」に期待を示した。
しかし、これを巡って「バイデン・文の関係性でも摩擦が生じてくる可能性が高い。
バイデン政権の基軸となるのは“非介入主義”と“国際協調主義・多国間協力”であることから、インド太平洋構想という多国間構想の中で同盟国に役割を求めてくることは想像に難くない。しかし文大統領がインド太平洋構想にどこまで積極姿勢を示すかは分からず、懸念事項のひとつになる可能性がある。