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バイデン大統領誕生へ。対中国政策は「オバマ以上、トランプ未満」か

コラム

 11月3日に行われた米国大統領選挙の結果、民主党のジョー・バイデン氏が勝利した。史上まれに見る接戦となり、バイデン氏が勝利宣言したものの、バイデン氏が7400万票、ドナルド・トランプ大統領が7100万票をそれぞれ獲得するなど、今後も混乱と分断が続きそうな予感だ。

米大統領選

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 トランプ大統領の7100万票は、4年前の2016年に自身が勝利した際の6200万票を大きく上回る。まさに、United States of Americaではなく、“Divided States of America”を見ているようだ。

オバマ時代と変わった中国の姿

 バイデン氏は7日の勝利宣言で、「分断させる大統領ではなく団結させる大統領」になると誓い、世界から尊敬を集める米国を取り戻すと主張した。しかし、バイデン氏が、同じく民主党のバラク・オバマ政権の継承を宣言しているとはいえ、オバマ氏が初めて大統領になった時代と、今では国際社会における中国の姿はまるで違う

 つまりオバマ流の“戦略的忍耐”では中国に上手く対応できないだろう。では、バイデン氏はどのように中国に対峙していくのか。

 まず、トランプ政権からバイデン政権になったとしても、習近平政権の対米政策に大きな変化は見られないだろう。新型コロナウイルスへの対応や南シナ海や東シナ海での海洋覇権といったトランプ政権が激しく非難してきた問題について、政権交代したからといって中国が歩み寄る姿勢に転じるわけではない。

習近平はバイデンの中国政策を注視

習近平

習近平 photo by China State Visit CC BY 2.0

 習政権は、バイデン氏がどのような中国政策を掲げてくるかを注視しており、自ら主導的にアメリカへアプローチしてくることはない。恐らく中国の海洋覇権や対外政策はこれまで通り続く。

 またトランプ政権時のような米中貿易戦争は解消されることだろう。トランプ政権が政治的背景から中国への関税制裁を発動し、それに中国が報復措置を採るという負の連鎖がここ数年続き、日本を含む世界経済はその不透明性、不安定性に悩まされ続けてきた

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