進化した人類は3メートル級!?「スケルトニクス」が夢見る未来の世界
高尾山の麓、東京の八王子にひっそりと構えるスケルトニクス株式会社。工場の大きな扉を開けると、全長2.8メートルもの大きさの搭乗型外骨格スーツ「スケルトニクス」が待ち構えていました。
2017年12月にサイバーセキュリティ事業等を展開する株式会社ココンからの資金獲得を経て、今まさに事業拡大フェーズに突入するスケルトニクス株式会社のCEOである阿嘉倫大氏に、そもそも「スケルトニクス」とは何か? 同社が目指す未来についてインタビューをしてきました。
魅力は“人間の本能的な欲求に応えられること”
――まず「スケルトニクス」とはどのような装置なのでしょうか?
阿嘉倫大(以下、阿嘉):搭乗した人間の腕や足の動きに追従して、電気を使用せずに四肢の動作すべてを1.5~2倍に拡大し、通常の人体では表現できないようなダイナミック動きを実現できる動作拡大型デバイスです。
僕は、このスケルトニクスで身体機能を拡張することにより、「進化した人類」を創造し、「進化した人類による世界」を演出できるのではないかと考えています。
――壮大なビジョンですね…! 阿嘉さんが思う、スケルトニクスに乗った人にしかわからない感動や興奮にはどういったものがあるのでしょうか?
阿嘉:スケルトニクスの魅力というのは、人の本能的な部分に深く関わっているような気がしています。
例えばF1マシンというのは一般道での移動や運搬の手段としては優れていませんよね。物を運ぶという意味ではもっと優れたトラックというものがあるわけです。F1マシンは荷物も載せられないし、狭いし、舗装された道路しか走れない。けれど、とてつもなく速い。これだけで全て許される感があるじゃないですか。
――スケルトニクスにもその「許される感」があるということですか?
阿嘉:はい。スケルトニクスも、装着した本人が強くなれるわけではないですが、「俺の方が大きい」「俺の方が強い」という、ごく本能的な欲望に対してストレートにそれを叶えてくれるという魅力があるんです。
アメリカの調査会社ガートナーが2017年に発表した「先進テクノロジのハイプ・サイクル」では、「ヒューマンオーグメンテーション(人間拡張)」という領域が黎明期に位置付けられています。
僕はスケルトニクスもこの領域に属していると考えているので、今後より一層、社会から求められ、発展していく技術であると予想しています。