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窃盗で少年院に…25歳の営業マンが語る「社会復帰できたわけ」

学び

 罪をおかし、社会から一度ドロップアウトしても、その人の人生は続きます。どうすれば、人生をやり直すことができるのか、そして厳しい目線にもさらされる中で、どう社会と向き合っていくのか。

今回、話を聞いた堤さん(25)

 犯罪を起こした青少年の自立支援を行うNPO法人クラージュが運営する寮「至誠館」。今回、10代後半から20代前半の男性が共同生活を送るこの寮を取材しました。現在リフォーム会社の営業マンとして働く元非行少年の堤祥太さん(25歳)や、受刑者専用の求人誌『Chance!!』編集長・三宅晶子さんのお話を通じて、元受刑者の社会復帰の今を探ります。

非行に走ったきっかけは“両親の不仲”

――そもそも、非行に走ってしまった背景って何だったんでしょう?

堤祥太(以下、堤):人それぞれいろいろ理由はあると思います。僕の場合は家庭の不和でした。中学生の頃に両親が喧嘩を始めるようになって、家に居場所がなくなり、夜の街に繰り出すようになりました。美容師になるという夢もあったんですが、お金がなければ学校にも通えない。

 自暴自棄になってやりたいように過ごしていたら、そのうちそういう非行を繰り返すような不良グループとつるむようになりました。そこからは自然とそういう道に進んでいきました。

――根本的な原因って何だったんだと思いますか?

:やっぱり居場所がないことがひとつだと思います。あとは、そういうグループに入ると次第に抜けたくても抜けられなくなってくるということ。

 僕の場合はヤクザが出てくるようになって、やりたくないこともやらなければいけなくなってしまったんです。最終的に窃盗をさせられて捕まり、19歳の時に少年院に送致されてしまった。自分のやったこと自体は悪いことだと思っていますが、少年院に送致されなかったら、そのままの生活が続いていたかもしれません。正直なところ、捕まったことで縁が切れて本当によかったと思っています。

前を向いて歩いていくしかない

堤さん

――少年院に入り、罪を償い社会に復帰された。ただ、なかなか世の中の目が厳しい部分もあると思います。率直にどう思っていますか?

:確かに一度罪を犯したら、人生が終わりだと考える人もいる。でも、手をさしのべてくれる人もいます。そこは人それぞれの考え方なのではないでしょうか。正直なところ、過去のことをそこまで気にはしていないんです。否定するならしてほしいと。

――確かに、批判する人の中にはそもそも全く本人のことを知ろうともしない人もいるかと思います。ただ、被害者がいるという指摘もありますよね。

:もちろん、罪を犯したこと事態は当たり前ですが悪いことです。しっかり向き合い、償わなくてはいけない。いろいろ学んで、罪を知り、更生する。そして前を向いて歩いていくしかないのではないかと思います。

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