ヤクルト村上宗隆・19歳、“清原超え”の10代最多本塁打。その強みとは
東京ヤクルトスワローズ、驚異の19歳、村上宗隆。プロ2年目の今季、9月4日の広島東洋カープ戦での32号本塁打により、1986年に清原和博が達成した記録を抜き、10代での最多本塁打記録を更新。その長打力を存分に発揮している。
打者として、そしてプロ野球選手として眩い輝きを放っている若き背番号55は、その個性を磨き続け、さらなる飛躍を狙う。
強みは豪快さと打撃センス
9月4日の神宮球場での対広島戦。6回裏に飛び出した32号3ランはまさに村上の特徴が表れていた。広島3番手、左腕の中村恭平の初球のスライダーに対し思い切り踏み込んでいく。捕らえた打球は鋭い軌道で左方向へと運ばれ、左翼席に吸い込まれていった。
積極的に初球から打ちに行く姿勢、左投手も苦にすることなく、ボールに逆らわないバッティング。記録を塗り替える歴史的な一発は豪快なスウィングだけじゃない、打者としての高いポテンシャルが詰まった見事な本塁打だった。
特に初球、ファーストストライクから狙う姿が今季は目立っており、ここまで初球での本塁打は8本にまで上り、迷うことなく打ちに行くスタイルは若さや勢いだけじゃない、自らの打撃に対する絶対的な自信が伝わってくる。
積み上げてきた本塁打とは裏腹に三振数も多く、得点圏打率もそれほどは高くはない。しかし、本塁打の半数以上がランナーを置いてのもの。勝負強さも充分備えており、リーグトップを争い、もうすぐ3ケタに届きそうな打点がどこまで増えていくか、こちらの記録にも注目だ。
宿命とも言えるレジェンドとの比較
令和の怪物・村上のここまでの高いパフォーマンスはすでに過去の大物との比較が繰り返されてきている。
特に、1986年に同じ10代プレーヤーとして31本塁打を放った西武ライオンズの清原和博の鮮烈な記憶は、村上のポテンシャルを測るうえで今後も思い出されていくことになりそうだ。
もちろん、時代背景や左右打席の違い、そしてチーム内で置かれている状況などもあり、単純に比較の対象とはなり得ないだろう。清原氏は高校生の頃より甲子園でも大きな話題を呼び、プロ1年目より当時、黄金期を迎えようとしていたライオンズの中心選手として活躍は華々しかった。
一方で村上の高校時代も甲子園も1年時に出場を果たしており、その長打力で素質を見出されている。同じ様に高校卒業後、ドラフト1位指名を受けプロへと進んだものの、1年目は二軍で過ごすことが殆ど。本格的にバッティングセンスが開花したのは今年からと言って良いだろう。