ブラック企業の「引き止め工作」でも、絶対に断られない退職理由とは?
「ブラック企業を辞めようと思ったら、なかなか辞めさせてもらえない……」。辞めようとする社員をなんとかつなぎとめるため、“引き止め工作”を行う企業があるそうです。
今回お話を聞いたのはIT企業に入社したエンジニア・石田真さん(33歳、現在はフリーランス)。新卒のころは世間の慣例に従って3年は会社に尽くす決意で身を粉にして働いていました。
しかし、いざキャリアアップというタイミングで上司に辞意を表明するも、慢性的に人手不足で悩む業界ゆえ、なかなか辞めさせてもらえなかったといいます。
あの手この手で「引き止め工作」する企業
年度末が近づくにつれ、あの手この手で慰留されるのが恒例行事になりつつあり、なかば諦めの境地に達していたとき、石田さんの頭に“絶対に断られない”退社理由が浮かびます。
「会社に入って何年か経つと、ある程度、時間に余裕が生まれ始めたんです。そこで趣味と実益を兼ねて、自分の興味のある筋トレに関するブログを始めることにしました。もちろん本業に支障の出ないペースでの更新です。ウェブマーケティングに詳しい友人のアドバイスを参考にして、検索で上位に引っかかるためのSEO対策も意識していました」
3年ほどでその努力は実を結び、個人ブログとしては十分すぎるほどの収益をたたき出すようになります。
「『あのサプリを実際に試してみたらこうなった』みたいな記事は、全部ガチのことしか書きませんでした。怪しげなステマ記事を書くブログが多いなか、比較的早いうちに読者の信頼を得られたのは大きかったですね」
ある日突然、書籍化のオファーが
あくまで正直ベースの記事が好評で、じわじわと毎月のPV数を伸ばしていき、気付いたらそこそこ名の知れたブロガーになっていた石田さん。比例して収益も右肩上がりに増えていきます。
「僕が褒めた商品は読者の方も試してみたくなるみたいで、特に成果報酬型の広告と相性が良かったんです。やったらやった分だけ数字になって自分に返ってくるって感覚はやりがいになりました。本業では年俸制なので、入社してからボーナスをもらったことがなかったのも追い風になりましたね」
副業としては十分すぎる額を稼ぎ出すようになり、会社に残る必要性があるのか、疑問に思うようになったIさんにさらなる転機が訪れます。
「ある日、突然、書籍化のオファーがありました。実は某出版社の編集者が、イチ読者として毎日チェックしてくれてたんです。実際に会って打合せしてみると、とんとん拍子に話が進んでいきました」
印税は通常10%だから、それに定価と部数をかけると……。書籍の話が現実的になり、夢は広がっていきます。そして業務が増えるにもかかわらず、残業代が満足に支給されなくなったことに端を発し、ついにブロガーとして生きていく決意を固めます。