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米国で大行列のラーメン店の独特な経営論「営業は2時間」「200日ごとにメニュー一新」

ビジネス

 今や、国民食となったラーメン。日本人のみならず、欧米人にも受け入れられつつあるようです。

ラーメン

※画像はイメージです(以下同じ)

 アメリカ・ボストンで人気のラーメン店を営んでいる大西益央さんが2月24日放送の『情熱大陸』(MBS)で紹介されました。「営業時間は2時間」「200日ごとにメニュー一新」「5年後に店を畳む」など、独特な経営方針がインターネットで話題になりました。

「終わりを決めたら人間は本気になれる」

 最低気温が氷点下になることも珍しくないアメリカのボストンで、1時間待ちの行列を作る「TSURUMEN DAVIS」。昨年4月にオープンして以来、ボストンでメジャーな新聞「ボストン・グローヴ」の1面を飾るなど、メディアからの注目度も高い、人気店となっています。

 鶏ガラスープの醤油ラーメンや白湯ラーメンが提供されているようですが、価格設定は15~17ドル(1600~1800円)と強気。それでもファンは絶えず、「いつ来ても満足して帰るよ」とお客さんも絶賛。なかには、3杯もおかわりをして帰る方もいるそうです。

 週のうち半分は、営業時間を2時間と決めており、午後8時には店を閉めて午後9時にはスタッフと共にビールを飲みに行きます。「元気で働けるための環境づくりやライフスタイルをすることが何よりも大事」と語り、その経営方針や人柄を慕って、現地の料理人が続々と弟子入り志願をしています。

 当店は5年後、1000日営業したら閉店することに決めているそうです。せっかく繁盛しているのに、なぜそのような決断をしたのでしょうか。大西さんは「終わりを決めたら、やっぱり人間本気になれる。ずっと続くものには本気になりにくくて。1000日しかこの店やれへんのに、今日1日でも本気になれへんくていいのか」と番組の中で語りました。

「美味しいもので人を幸せにする」

豚骨ラーメン

 大西さんは、伊丹十三監督のラーメンコメディ映画「タンポポ」に感銘を受け、2007年に地元の大阪に「鶴麺」をオープンさせます。その後、2014年にハワイに出店しますが、経営状況は芳しくなかったようです。

 2年後、ノースカロライナ州にて再起を図りますがこれも失敗に終わり、借金を抱えてしまいました。

 その折に、父が癌によって亡くなります。日に日に食が細くなっていく父が、それでも大西さんの作るラーメンだけは食べることができたそうです。その経験が「美味しいもので人を幸せにするという僕の想いを決定づけた」と番組の中で語りました。

 そのような、幾度かの失敗と、父の死を乗り越えて、ボストンの地にラーメン店を構え、人気店に育て上げることができたのでしょう。

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