野村不動産、驚きの平均年収。問題の「長時間労働」に社員の声は…
何かと話題になる「裁量労働制」。実際に働いた時間でなく、あらかじめ決められた労働時間に基づいて残業代込みの賃金を払う制度である。
これまで一部の専門職にのみ適応されていた同制度だが、政府が推し進める「働き方改革」の一環として、先の通常国会でに対象業務の拡大が図られていた。
というのも、この制度の問題点を浮き彫りにするような騒動がある大手不動産会社で勃発したのだ。
裁量労働制を違法適用、過労自殺した人も
2018年3月、大手不動産会社、野村不動産で裁量労働制を適用していた男性社員が過労により、2年前の2016年9月に自殺していたことが発覚。
同社は2017年12月25日にも厚生労働省東京労働局から「裁量労働権」を違法適用した疑いがあるとして、特別指導が行われた。その矢先の出来事だった。
さらに、約1900人いる従業員のうち、本来、制度の対象外である営業職などにも裁量労働制を適用。合計600人程度を裁量労働制で働かせるなど、全社的に制度を悪用していたことが判明し、2018年3月末で同社の裁量労働制は廃止された。
この影響は野村不動産内にとどまらず、現行の制度では悪用を防ぐことが難しいと判断され、政府は働き方改革関連法案に盛り込まれるはずだった、裁量労働制の対象拡大を先送りにしたのだ。
野村不動産の歴史
裁量労働制の違法適用を行ったものの、野村不動産は三井不動産、三菱地所、住友不動産など並んで就活生などにも人気の高い大手不動産会社だ。そもそも、どういった企業なのか? まずはその歴史から見ていきたい。
誕生は1957年のこと。もともとの親会社であった野村證券から分離独立しビルの賃貸管理を主業務とした賃貸管理業をスタート。2004年には野村不動産ホールディングス株式会社による持株会社制へと移行、現在に至った。
関連企業は野村不動産ホールディングスなども入れて全19社。現在では当初の賃貸管理業以外にも投資事業やマンション開発、「bono相模大野」や渋谷の「Gems」といった複合商業施設の運営。
さらには企業向け不動産サービスの実施、果ては東南アジアを中心とした海外進出など、不動産を中心として手広く事業を行っている。