民泊で一人勝ち「Airbnb」は新法でどうなる?物件激減、新たなライバルも…
ホスト層は減少? ライバル各社にはまだ水をあける
Airbnbのサイトでは、貸したい部屋の予想収入を簡単に試算できます。
2018年9月時点、筆者が住む文京区のマンションを、定員4名部屋ごと貸切でホストした場合の月間収入相場は16万1147円と出ました。運営費やアメニティを考慮すると普通に賃貸のほうが儲かりそうにも思いますが、家具はそのまま短期だけ運用したい、住居の一部屋だけホストしたいといったプチ不動産運用には向きそうです。
実際、立地の良いマンションをわざわざ借り、家具などを揃えて運用するサラリーマンホストも出現。
シェアエコノミーに抵抗のないネット世代の副業としても注目を集めてきましたが、民泊新法で冷水を浴びせられた格好です。それでも厳しい諸条件を乗り越え、2018年9月現在掲載されている東京近郊の物件は、1泊ひとり1200円程度から、鴨川の25名収容貸切ヴィラ22万5000円まで様々。
「1200円でペイするの?」と思いますが、このホストは駅前オンリーの13物件を提供していて、集客などを含む運営ノウハウと高回転率で収益をあげているものと見られます。鴨川の貸切ヴィラはなんと送迎バス付。合宿や研修などで活用され、「とにかくスタッフが素晴らしい」とリピーターを獲得しています。
逆に不満の残る物件ももちろん存在。米国からの一時帰国で新宿のマンションを利用した友人夫妻は、「掲載情報と違う!」と、1泊でビジネスホテルへ移っていきました(京都の古民家は素晴らしかったそうですが)。こうした物件は淘汰されていくか、価格の見直しを迫られるのでしょう。
いま生き残るのは、「民泊」といいながらも、ある意味玄人化した差別化戦略を進めるホストたち。民泊新法で参入ハードルが上がったうえ、ホスト同士の競合も厳しくなっていると見られます。
ユーザー属性の変化は?
Airbnbは民泊ホスト数回復を目指し日本全国60以上の都市で新規ホストの開拓、既存ホストの勉強会を兼ねたミートアップを開催し始めています。アクセスログを1年単位で見てみると、ゲスト利用が中心と思われる20代に主要ユーザーがシフトしているのは気になるところ。
30代以上はすべての年代で利用が減少していて、特に60歳以上が約26万2000人のマイナスです。前年同期の55%程度まで減っていることがわかります。
世帯年収別だと劇的な変化はありませんが、700万円以上の余裕がある層は微減、その分300-700万円未満の比率が高まっています。ちなみに筆者が昨年Airbnbで利用したハワイのマンションは、現地の友人によると20年間でかなり高騰し続けている高級物件だそうです。
値段でいったらエア&ホテルコミコミツアーの方が安かったかもしれませんが、キッチンが充実していてお部屋が広い点が満足でした。従来はこうした「既存ツアーに飽きた層」が中心だったと思われますが、やや様相が変わっているのでしょうか。
ライバル参入による市場変化は?
民泊新法を機にAirbnbの牙城を突き崩そうと、楽天傘下の「楽天ライフルステイ」や「百戦錬磨」といったプレイヤーが仲介に参入し、正規民泊物件の獲得に乗り出しています。Airbnbは個人のホストとゲストの仲介中心に成長してきましたが、これら新規プレイヤーは運営代行を「丸投げ」で引き受けるモデル。最初から玄人が運営する民泊です。勝算はあるのでしょうか?
国内ユーザーのネット行動ログで見ると、ホスト向け情報が掲載されている「楽天ライフルステイ」や「百戦錬磨」のサイトは、まだまだユーザー数が少ないようです。
民泊を営む友人によると、これらサービスは手数料が高く、魅力は薄いのだとか。かたや、不動産経営情報サイト「イエカレ+」が民泊新法公布後一時期Airbnbを上回るアクセスを獲得したのが目立ちます。4月以降は落ち着いていますが、民泊新法公布前と比べると大幅な利用増です。一概にAirbnbホストの流出とはいえませんが、その一部を取り込んだのかもしれません。