【中国発DeepSeek】彗星のごとく現れた生成AIが世界に与える影響とは?
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2025年に入り、生成AI関連ニュースでは最も話題となった「DeepSeek」。低コストながらChatGPTの性能に迫る生成AIが中国からリリースされました。性能以外の面でも、市場や各国の安全保障など、世界に大きく影響を与え続けています。この記事では、DeepSeek関連のニュースで話題になった主な内容を時系列で解説します。
低コストでChatGPTに迫る性能を開発
「DeepSeek」は、アリババ本社がある浙江省杭州に本拠地を置く生成AIスタートアップ「幻方」が提供しています。2025年1月20日、ChatGPT-o1の性能に迫るモデル「DeepSeek-R1」が発表されたことで、世間の注目を浴びるようになりました。
特筆すべきはコストです。なんとChatGPT-o1と同程度の性能にもかかわらず、データの出力にかかるコストはわずか4%とのこと。1日あたりの使用回数に制限はありますが、無料で使うことができます。
一方、ChatGPT-o1を使うなら、最低でも月額20ドル(約3,040円)のChatGPT Plusプランへ加入しなければなりません。
DeepSeek-R1の発表から1週間が経過した2025年1月27日には、アメリカ・アップルのアプリストアで最もダウンロードされた無料アプリとなりました。
低コストで高性能なモデルが中国からリリースされたことにより、生成AIのアメリカ一強が揺らぎつつあります。
半導体関連株が暴落した「DeepSeek」ショック
DeepSeekはアメリカの金融市場も揺るがしました。2025年1月27日、Googleを提供するアルファベットは4%安、マイクロソフトも2%安と、AIに関連した企業の株価は軒並み大幅安となりました。
特に顕著だったのが、AI半導体大手エヌビディアです。同社の株価は17%安を記録し、時価総額は5,900億ドル(91兆円)も減少したとのこと。
1月28日には、日経平均株価の下げ幅が一時600円を超えるなど、東京市場にも影響がありました。
生成AIのアメリカ一強の背景には、テック企業大手による巨額投資がありました。しかし、低コストでChatGPT-o1と同程度の出力が可能になるのであれば、投資の動きも変わりかねません。資金力がなくても生成AIの開発に新規参入できるとなれば、生成AIの技術競争は米中を筆頭にしのぎを削ることになるでしょう。
各国で広がる使用規制。日本はどう出るか?
DeepSeekのアプリの利用規約によると、利用者のデータは中国のサーバーによって管理され、問題が起きた際は中国の法令が適用されることが明記されています。
林芳正官房長官は、2025年1月30日の記者会見において、DeepSeekについて「個人情報保護委員会で特段の対応方針が決まったとは聞いていない」としつつ開発動向を注視する姿勢を示しました。
一方、各国の動きに目を向けると、個人情報の保護や安全保障の観点などから、DeepSeekの使用を制限する国も出てきました。
2025年2月4日時点では、イタリアやオーストラリアが国家レベルでDeepSeekの利用を禁止しています。
GAFAのサービスが中国で制限されているように、生成AIも独自の文化圏を作っていくのでしょうか。今後の生成AIの動向から目が離せません。
[参考]
DeepSeek Privacy Policy
林官房長官、DeepSeekのAI「動向を注視」 – 日本経済新聞
イタリア、DeepSeekのダウンロード不可に 説明を要請 – 日本経済新聞
DeepSeekの衝撃 中国AIが変えたゲームのルール – 日本経済新聞
DeepSeekショック、アメリカのAI株価が急落 NVIDIA17%下落 – 日本経済新聞