円安で行きにくくなった「海外旅行」いまおすすめの場所は?
インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。
そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、物価高と円安に関連して東南アジアの経済状況について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。
物価高や円安で欧米への海外旅行は難しく
世界的な物価高や円安によって、最近は海外旅行に行きにくくなった。特に、円安ドル高、円安ユーロ高はかなりのもので、米国やフランスなどを旅行しても、ペットボトルのミネラルウォーターが日本円で数百円するのは当たり前で、マクドナルドのランチセットが1,000円、牛丼が1,500円なども目にする。
東南アジアなら比較的安価に旅行ができる
では、インスタント食品などを持参せず、現地の料理を安心して満喫できる海外旅行先は日本人にはないのだろうか。ハワイやグアムなど日本人に人気のある観光地はとても高いが、ベトナムやマレーシア、インドネシアなど東南アジアは以前とあまり変わらず、安い値段で現地の料理を満喫することができる。
ベトナムのドン、マレーシアのリンギット、インドネシアのルピアなどに対して日本円は決して劣勢でなく、以前とあまり変わらないことから、パックツアーの値段も現地の物価も心配しなくていい。日本を離れたい、どうしても海外旅行に行きたいと思う人には、今こそ東南アジアがおすすめだ。
シンガポールの物価が高い理由
しかし、シンガポールは以前から物価も不動産も高いので、それ以外の国がいいだろう。
シンガポールは独立後、初代首相のリー・クアンユー指導のもと、驚異的な経済発展を成し遂げた。水やエネルギー資源に乏しい国だが、外資の誘致を積極的に進め、外国人を労働者として受け入れ、金融業や製造業を中心に経済政策を強化したことが大きな要因である。
1965年から1970年代にかけては毎年およそ7%から13%と高い経済成長率を示し、1980年代にも平均8.5%近くを記録し、そのままの経済水準を維持して今日に至っている。
また、シンガポールは中国系、マレー系、インド系などで構成される多民族国家だが、多民族が一緒に仲良く暮らせるような政策を重視し、それによって民族間の軋轢などが肥大化しなかったことも大きな要因といえるだろう。