エコ先進国ならでは!人気の“地域密着型”副業とは?【世界の働き方事情・オーストラリア】
海外在住ライターや海外で働いた経験を持つライターが、各国の仕事事情を紹介するシリーズ「世界の働き方事情」。今回は、オーストラリアの休暇事情を現地在住ライターが紹介します。今回は、オーストラリアの副業事情を現地在住ライターが紹介します。
フリーランス文化が進むオーストラリアは、時間や場所に縛られない労働環境が整っているため、副業を行いやすい国。また日本の副業と比べても、その目的・スタイルはだいぶ異なるように感じます。今回は人気の副業から特徴まで、わかりやすく解説。それでは見ていきましょう!
サイドハッスル「いくら稼ぐかより、いかに稼ぐのか」
近年オーストラリアでは、「副業は単に収入を増やすだけではない」という考え方が広まっています。実際、多くの人が副業を通じて、好きな分野でスキルを磨いたり、興味を追求することが多く、“自己実現” の手段ともなっているのです。「お金を稼ぐ」ことに重きを置く従来の副業に対して、「やりがい」を重視する副業、いわゆる「サイドハッスル(Side Hustle)」がこの国のトレンド。
例えば筆者の周りでも、音楽やアート、DIY、園芸など、クリエイティブな活動を副業にしている人が数多くいます。彼らは収入増加よりも、日々の仕事では得られない自己表現の場や社会的意義を求めているのです。特に自分のスキルを磨きながら、新しいキャリアの可能性を探るため、副業を選ぶ人も増えています。
このようにオーストラリアでの副業は、単なる収入源に留まらず、個人の成長やライフスタイルの向上、社会貢献といったさまざまな目的があるといえそうです。
人気の副業「中古品販売」は、地域密着型!
日本では「メルカリ」や「Yahoo!オークション」などを通じ、中古品販売が注目を集めていますが、オーストラリアでも副業として大人気。平均的に月897豪ドル(約9万円)の稼ぎになるといわれています。
一方、日本と異なる点は「地域密着型」であること。「Facebookマーケットプレイス」や掲示板サイト「Gumtree(ガムツリー)」が主なプラットフォームとなっており、ローカルの買い手と売り手をつなぐ場として活用されています。
というのも、オーストラリアは広大な土地を持つため、国内の配送コストが高くなりがち。そのため、近隣の人と直接会って渡す「対面取引」が好まれる傾向にあります。売り手は発送コストを抑えつつ、買い手も実際に商品を確認してから購入できる。両者にとって満足度の高い取引ができるわけです。
また、リサイクルやリメイクされた家具が頻繁に取引されている点も、DIY好きなオージーならではといえるでしょう。サステナビリティへの関心の高さも相まって、中古品市場は急成長。特に「エコ」意識の高い消費者から支持されているようです。
都市部で人気急上昇「アーバンファーミング」
「DIY & サステナビリティ先進国」オーストラリアでは、家庭菜園やガーデニングが盛ん。自宅の庭で育てた野菜やハーブを、副業として販売する人も多いようです。特に都市部では「アーバンファーミング」と呼ばれる、小規模な家庭菜園が注目を集めています。
園芸系のビジネスをサポートするコミュニティが多数存在するオーストラリア。例えば、近隣住民がシェアする「コミュニティガーデン(共有菜園)」も、そのひとつです。区画を分け合い、それぞれが自分のスペースで作物を育てることができる。個人の庭を持たない都市住民にとって、画期的な存在といえるでしょう。教育プログラムやワークショップも行われるため、初心者でも安心して副業を始められるのもポイント。
筆者はファーマーズマーケットをよく訪れるのですが、オーガニックの野菜やエディブルフラワーなどをよく目にし、その需要の高さを実感しています。「新鮮かつ安全な食品を地元の人々に提供」「地域コミュニティとの交流が生まれる」「輸送によるCO2排出も削減」と、アーバンファーミングのメリットは数え切れません。オーストラリア特有の健康志向やコミュニティ精神、エコ意識を反映していて、将来的にも成長が期待される分野です。
さて、オーストラリアでの副業は、収入を増やすだけでなく、自己実現を重視していることがおわかりいただけたのではないでしょうか? 特に家庭菜園やリメイク家具の販売など、サステナビリティやDIY文化に根ざした活動は、実にオージーらしい副業といえるでしょう。と同時に、「いかにして地元のサポートを得られるか」が、この国における副業成功の鍵となっているようです。
【参考】
Side hustle statistics
5 Most Profitable Side Hustle Ideas To Start In 2024
CERES