日本人の台湾旅行や出張にも影響?新政権発足後に中国との関係が悪化!
インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。
そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、最近の台湾情勢について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。
中国が台湾の漁船を拿捕
お正月やゴールデンウィーク、お盆などの長期休暇の際、多くの日本人が海外旅行をするが、ハワイやソウルと同じく人気があるのが台湾だ。台湾は治安が良く、親日的で、ご飯やスイーツがおいしく、日本人にとってはまさに天国と言えよう。しかし、今後台湾へのイメージは大きく変わるかもしれない。
中国大陸がすぐ目の前にある台湾の離島・金門島の近海で2024年7月2日夜、魚を獲っていた台湾の民間漁船が中国海警局のパトロール船によって拿捕され、強制的な立入検査を受けた後、中国側の港に連行されるという事件が発生した。
中国海警局とは文字のとおり海の警察で、日本でいう海上保安庁である。拿捕された民間漁船から連絡を受けた台湾当局の船がすぐに現場に駆け付け、同漁船を解放するよう呼び掛けたが、中国海警局の船はそれを無視するかのように民間漁船を連行した。台湾当局は軍事的な衝突を回避するため追跡を断念している。
台湾新政権発足以降、中国の圧力が強化
この事件が示すように、5月に台湾で新しい政権が発足して以降、中国による台湾への圧力が強まっている。中国の習政権は台湾の独立を絶対に阻止、そのためには軍事行動も辞さないという構えで、新政権の発足以降、中国軍の戦闘機が台湾本土に接近するなどの挑発行為が横行しているのだ。
そして、台湾当局は6月末、中国への渡航注意情報を3番目に危険なレベルの「渡航の是非を検討するように」から2番目に危険なレベルの「不必要な渡航を避けるよう勧める」に引き上げた。
中台関係の悪化が日本人の台湾渡航へ影響も?
中台関係の行方を予測することは簡単ではない。しかし、台湾船が中国当局に拿捕され、台湾当局が市民に対して“可能な限り中国本土に行くな”と呼び掛けたことなどは、中台関係がさらに悪化していることを物語っている。
台湾には約2万人の日本人が在留し、多くの人が台湾に旅行、出張するが、今後は軍事的な衝突などにより、台湾への渡航が難しくなるシナリオも生じてくるかもしれない。
[文/ピエール・パパン]