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メモは取る・取らない論争ついに決着。答えは「メモを取る本当の理由」に

ビジネス, 学び

ある成功者が「メモは取らない」とどこかで語っていると「そうか、メモは必要ないんだ」と思う。

しかし、また別の成功者が「メモ魔」だと知ると「やっぱりメモは大事なのかな」と自信が揺らぎだす。メモは結局、取るべきなのか、取らなくてもいいのか。

そこで今回は、この大論争に決着をつけるべく、株式会社office Root(オフィスルート)代表取締役社長の甲州潤(こうしゅうじゅん)さんに話を聞いた。

甲州さんは、PM(プロジェクトマネジャー)の補佐役としてメンバー間や会社間の橋渡しを行ったり、期日管理などプロジェクト全体のマネジメントを担ったりするPMO(※ピーエムオー)のプロフェッショナルとして長年活躍する人だ。

DX時代の最強PMOになる方法〉(ビジネス教育出版社)を出版した著者でもある。

いわば、調整業務やマネジメントの専門家であり、メモのプロフェッショナルでもある。メモは取るべきなのか・取らないべきなのか。これから成長著しい若手ビジネスパーソンこそ最後まで、ぜひ読んでもらいたい(以下、甲州潤さんの寄稿)。

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(※)ピーエムオー・Project Management Office:PM(プロジェクトマネジャー)の補佐役としてメンバ間や会社間の橋渡し、期日管理などプロジェクト全体のマネジメントを担う

メモを取らなくても困っていない人は取る必要なし

「あの新人はメモも取らない……」

「メモは仕事の基本!」

「いやいや、メモを取るやつなんて駄目だよ」

そんな風に、しばしば起こるメモ論争。

「結局、メモは取るべき? 取らないべき? どっち?」

そう悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

遅くなりましたが皆さん、初めまして。株式会社office Root(オフィスルート)代表取締役社長の甲州潤(こうしゅうじゅん)と申します。

私は、これまでPMOとして、大小問わず多くのプロジェクトを成功に導いてきました。

私の考えを先にお伝えすると「メモを取らなくても特に困っていない人は取る必要なし!」です。

それはなぜなのか。メモを取るべき人とはどんな人なのか。

今回は、仕事でメモが欠かせないPMOの視点を交えながら、メモを取る本当の理由についてお伝えしていきたいと思います。

メモ=記憶や整理できない情報の記録

「今困っていなければメモを取る必要はない」とお伝えしましたが、その背景には、メモを取る本当の理由があります。

なぜならメモとは「自分の頭の中で、記憶や整理ができない情報を記録するため」に取る行為だからです。

特に、メモを取らなくてもスムーズに仕事ができている人は、情報の記憶や整理が恐らく十分にできていますから、この先は読んでいただくなくても大丈夫です(笑)

そもそもメモは、周囲から「取りなさい」と言われて取る、「ただ何となく」取るものではありません。

「メモを取らなければ処理が追いつかない。ミスにつながるかもしれないからメモをしよう」

そう自ら判断して取るのです。

では、具体的にどんな人がメモを取るべきなのでしょうか? それは、このような状態にある人です。

・ToDoに常に追われ、次から次へと蓄積する情報で頭がパンク状態

・「あれ、前も言ったじゃん!」とよく言われるなど同じミスを何度も繰り返す

思い当たる節があればぜひ、このまま読み進めてみてください。

大事な情報を取捨選択し自分以外の人に正しく伝える

メモを取る理由は「情報の記憶や整理のため」とお伝えしました。もう少しここを掘り下げてみると、大事な理由が2つ浮かび上がってきます。

1つは「本当に大事なポイントだけ記録に残すため」。もう1つは「自分以外の人に正しく情報を伝えるため」です。

例えば私は、PMOとして、100〜200人規模のプロジェクトをマネジメントする機会が多々あります。

そうした大規模プロジェクトの場合、20人単位のチームが10チームほど存在するので、多くの情報が飛び交います。

それぞれのチームの仕事が同時並行で進み、違うテーマの会議が1日に何件も走り、毎日数十の課題が発生する……なんてざらにあります。

もし、そんなプロジェクトのPMOにあなたがなったら……と想像してみてください。

全ての情報や課題を1つ1つ記憶できるでしょうか? メンバー全員に、個々のチームの課題を正確に伝えられるでしょうか? メンバーそれぞれも、自分が知っておくべき課題を記憶できるでしょうか?

自分の頭の中だけではなかなか難しいですよね。私も無理です。1チームだけなら可能かもしれませんが、10チームともなると大変になります。

「Aチームには重要だけど、Bチームには不要な情報」といった分別が必要な情報もたくさん出てきます。ここで「メモ」が本領を発揮するのです。

「Aチームに把握してほしいポイントはこの3つ」

「会議で出たこの内容はBチームに共有しなくては!」

そんなふうに、誰にどの情報が必要なのか整理しながらメモを取っていきます。

すると、そのメモを見るメンバーたちは、余計な情報まで頭に入れずに済みます。結果として、正確に効率良く情報を浸透させられるのです。

さらに、メンバーたちが正しい情報共有の下、自分の業務遂行に集中して取り組めるので、プロジェクトの成功にもつながっていきます。

本当に重要な情報だけを厳選して書く

PMOにとってメモは、

1.数多ある情報の中から必要な情報だけを取捨選択するためであり、

2.その情報を自分が忘れないためでもあり、

3.プロジェクトメンバ全員に正しくスムーズに共有するため

でもあるのです。この考え方は、PMOに限らず、全てのビジネスパーソンに通じると思っています。

ただ「何でもかんでもメモを取ってしまう」には要注意です。

上司の言葉をそのままそっくり書いているようでは、発言記録と変わりません。むしろ、一言も漏らさず全部書こうとするあまり、余計に頭がパンクしてしまうかもしれません。

自分やチーム、メンバーにとって本当に重要な情報だけをメモに厳選して書く、これが鉄則です。

何が重要か分からない時は、可能なら1度試していただきたい練習方法があります。

メモを取る際に、上司などとのやりとりを録音し、自分の書いたメモと照らし合わせる振り返りの訓練です。

「余計な情報までメモしていないか?」

「本当に重要な情報を書き逃していないか?」

そうしたセルフチェックができる良い機会となります。

録音までしなくても、一度仕事の手を止めて「今書いたメモはちゃんと要点を押さえられているか?」と自身をかえりみる時間を設けるだけでも良いと思います。

やみくもにメモの回数をこなすのではなく、振り返りをしっかりする方が効果が高いです。

なお、録音する際は「正確なメモが取れるよう勉強したいので……」などと上司などに事前に了承を得ておくとよいでしょう。

部署をまたがった会議、お客さまや取引先が居る会議では難しいかもしれないので、小規模な会議から試してみると良いです。

チェックが終わったら音声データは速やかに消去してください。

重要な情報を埋もれさせず強調させる

今回は、メモを取る本当の理由についてお伝えしました。まとめると次のとおりです。

・メモは、情報の記憶や整理をするために取る

・自分やチーム、メンバーに本当に重要な情報だけを取捨選択するためにメモを取る

今は、言うまでもなく情報過多な時代です。

朝、パソコンを開けば、メールや見逃しているチャットのメッセージがどっさり届いています。日中もチャットが次々と飛び交う中で、リアルのやりとりもどんどん展開していく……。

どれが大切で、どれは聞き流して良いのか、 重要な情報を埋もれさせず強調させるという意味でもメモは重要な役割を果たします。

とはいえ、冒頭でもお伝えしたように、メモを取らなくても大丈夫な人は居ます。また、社長秘書のようにタスク管理を徹底的にマネジメントしてくれる存在が居る人、スーパーマンのように半端ない記憶力を持っている人も当然ながらメモは必要ないでしょう。

皆さんにメモについていろいろお話している私も実は、かつてはメモが、超絶苦手な人間でした。ですが、さまざまな仕事を経験し、さまざまな人と関わる中で、効果的なメモの取り方が分かってきたのです。

bizSPA!フレッシュでは次回、努力すれば誰でも身につけられるメモ術をお伝えいたします。超デキる秘書が居る人や特殊能力を持ったスーパーマン向けではないので安心してください。

今「メモがうまく取れない……」と悩んでいる皆さん、次回の記事もどうぞお楽しみに!

[文/甲州潤]

[参考]

DX時代の最強PMOになる方法

※全国の書店でも販売中

株式会社office Root(オフィスルート)代表取締役社長
国立高専卒業後、ソフトウェア開発企業でSEとして一連の開発業務を経験し、フリーランスに転身。国内大手SI企業の大規模プロジェクトに多数参画し、優秀な人材がいても開発が失敗することに疑問を抱く。PMOとして活動すると多数プロジェクトを成功へ導き、企業との協業も増加。2020年に法人化し企業課題と向き合う日々。
【著書】〈DX時代の最強PMOになる方法〉(‎ビジネス教育出版社)
URL: https://www.office-root.com/become-excellent-pmo/

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