できる人の忘新年会メールはこんな違う。コピペ可の例文で若手幹事は自己採点を
忘年会・新年会の時期に突入した。幹事を務めた人も居るだろうし、これから幹事を急に任される人も居るはずだ。
幹事に指名されると、さまざまな調整作業が発生する。正直、忙しい年末に面倒臭いと感じるだろうが、その段取りを通じて、自分の調整能力が露呈してしまう側面もあるはずだ。油断はできない。
そこで今回は、株式会社office Root(オフィスルート)代表取締役社長の甲州潤(こうしゅうじゅん)さんに「甲州さんなら、どのような忘年会・新年会メールを送るか?」と聞いてみた。
甲州さんは、PM(プロジェクトマネジャー)の補佐役としてメンバー間や会社間の橋渡しを行ったり、期日管理などプロジェクト全体のマネジメントを担ったりするPMO(ピーエムオー)のプロフェッショナルとして長年活躍してきた人だ。
〈DX時代の最強PMOになる方法〉(ビジネス教育出版社)を出版した著者でもある。
いわば、調整業務やマネジメントの専門家に、忘年会・新年会メール論を本気で考えてもらった企画。
具体的な例文も掲載するので「コピペ」して活用したり、自分が送ったメールとの違いを見比べて自己採点したりと活用してほしい(以下、甲州潤さんの寄稿)。
目次
スピーディーかつスマートな感じで株も上げる
皆さん、こんにちは。初めまして。株式会社office Root(オフィスルート)代表取締役社長の甲州潤(こうしゅうじゅん)と申します。
私は、これまでPMOとして、大小問わず多くのプロジェクトを成功に導いてきました。
と言っても今回は、まじめな仕事の話ではありません。年末年始に社内で必ず発生する「プロジェクト」……そう、忘年会・新年会の話をさせてもらいます。
昨年までは「コロナ禍」で未開催、オフラインで今年は復活という会社も多いのではないでしょうか。
そんな中、特に新人の方であれば、幹事を任されたケースも多かったのではないでしょうか。また、これから急に、任される場合もあるかもしれません。
本当は、少し憂うつだった(憂うつに感じている)方も居るだろうと想像します。
そこで今回は、私甲州が、忘年会や新年会の企画から運営をスムーズにするメール術を伝授します。
実は、私自身、忘年会や新年会のような飲み会は得意ではありません。しかし、何の問題もなくこなせます。それは、押さえるべきツボを知っているからです。
そのツボを知れば皆さんも「得意ではないが難なくこなせる状態」に簡単にもっていけます。
できればやりたくない、でも、やらなければならない幹事をスピーディーかつスマートにこなし、あなたの株もついでに上げてしまいましょう。
たかが幹事、されど幹事
「まだ、仕事も社内の人間関係もよく分からないのになぜ、幹事をやらなきゃいけないんだ!」
「幹事を新人に任せるなんて昭和・平成の悪しき慣習だ!」
皆さんはこんな風に思ってはいませんか?
確かに面倒ですが、幹事の依頼には実は、きちんと理由があるのです。
1.段取りの仕方
日程や場所選びなど、幹事には「段取り力」が不可欠です。上司や周りは、この力があなたにどのくらいあるかを見ています。
そもそも仕事は段取りが命。段取り上手な人には、少し難しい仕事も任せたくなるはずです。
2.調整力
忘年会や新年会は、普段顔を合わせない人に連絡する場合もあるでしょう。
一緒に働いていたら人となりも分かりますが、役職が上の人、部署が違う人だとなかなかそうもいきません。
その際、求められる能力が「スムーズなコミュニケーション」。
皆と円滑にやり取りし、意見をまとめられるか、調整力を見られています。
社内イベントの意義はそもそも「お互いの理解を深め、メンバーの士気を高める」です。調整力で「目的を完遂できる幹事」をアピールできます。
3.人への気配りや状況把握力
その人の実力も分からずにいきなり仕事を任せる上司は居ません。ましてや、お客さまへの対応や重要な仕事ならなおさらです。
会の成功よりも、いろいろな人への気配りや状況把握などができるかを上司は見ています。
要するに「たかが幹事、されど幹事」なのです。だからこそ時系列に沿って、私なら幹事の仕事をこう進めるという具体例を示していければと思います。1つの参考にしてください。
なお、本記事は
・30人ほどのプロジェクトチーム
・部署や会社が違うメンバーも居るため共通のツールはない
・仲の良い人たちも居れば、あまり関係が良くない人も居る
という前提で話を進めます。参加人数や関係性によって省ける部分は調整してください。
会に欠かせない人を先に押さえる
まず、私なら、主要メンバー、リーダー、プロジェクトマネージャーといった会に欠かせない人たちの日程を押さえます。事前調整の際は、メールや電話で複数の候補日をもらいましょう。
メール文例
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【忘年会開催日程のご相談】
○○部長
●●チームの新人で、忘年会幹事の○○です。
早速ですが忘年会の日程を決めたいと考えております。
●●部長のご参加可能な日程を3パターンほど頂けますでしょうか。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
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この時「○○部長だったらいいお店をご存じですよね。お勧めはありますか?」と可能なら聞いてしまってもいいかもしれません。
相手も悪い気はしないですし、こちらでお店を探す手間も省けます。2名前後から、2~3件候補をもらっておくといいでしょう。
初回案内は開催3週間前に
日程・場所の候補が出たら、メンバーへ初回案内を送ります(理想は、開催3週間前)。
3候補ほど日程を提案し回答してもらいます。日程調整ツールは○×で簡単に回答できる〈調整さん〉がベストだと考えています。
ツールは他にもありますが、部署も会社もバラバラで共通ツールもない中、新年会・忘年会のためだけに新たに導入するなど得策ではありません。
〈調整さん〉を使う際は、会社の固有名詞やプロジェクト名を書かないなど、セキュリティ面に配慮しましょう。
イベントのURLを〈調整さん〉で発行したら案内メールを送ります。
メール文例
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【忘年会参加可否回答のお願い】
参加可否の回答 : (調整さんURL)に入力ください。
回答期限 : ●月●日 ●時 まで
開催場所 : オフィス近辺のお店を予定しています(参加人数により決定します)
時間 : 業務後、●時~●時を予定しています
その他 : アレルギーや嫌いな食べ物があれば返信ください。
こんな料理が食べたい!などの希望もOKです。
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回答期限がタイトな場合、
「参加人数によってお店を決めるため、回答期限がタイトで申し訳ありません」
といった一言を添えると丁寧でとてもいいと思います。
1杯目の注文を事前に聞いておく
日程・場所・人数が確定したら、開催1週間前をめどに最終案内を参加者へ送ります。
メール文例
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【忘年会のご案内】
開催日時 : ●月●日 ●時 〜 ●時
※ 幹事の○○は、●時にはお店におります
参加費の回収方法 : (参加者の特性に合わせて決めてください)
お店の名前と場所 : (お店の名前)
(URL)
集合場所 : (現地集合orどこかで待ち合わせ)
注意事項 : (伝えておいた方がいい内容)
【お願い】
スムーズな進行のため1杯目のオーダーをご返信ください。
メニュー表を添付致しますので、お好きなドリンクをお選びいただければ幸いです。
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重要なポイントが2つあります。
1つ目は、1杯目の注文を聞いておく。
「1杯目何にしますか~?」のやりとり、ちょっとだるくないですか(笑)
事前に確認すると参加者も幹事も非常に楽です! 注文内容はお店に先に伝えるか、当日に口頭注文でもOK。
2つ目は注意事項。
例えば、お店で靴を脱ぐかどうかを気にされる女性もいらっしゃいます。必ず明記しましょう。
さらに「当日は、寒さが強まる予報です。温かい格好でお越しください」などと添えると「おっ、やるな!」と思われるはず。
幹事の仕事は「翌日の朝まで」
無事に会が終わって一安心。でも、ちょっと待ってください。
幹事の仕事は「翌日の朝まで」と心得ましょう。そうです、参加された方々に「ありがとうメール」を送るのです。
メール文例
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私のつたない案内にもかかわらずお集まりいただきありがとうございました。
普段、なかなかお会いできない方たちとお話しして新たな一面を発見しました。とても楽しかったです。
まだまだ仕事に不慣れですが、皆さま、これからもご指導ご鞭撻をお願い致します。
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このようなメールを誰よりも早く出社、リモートならログインして朝一番に送りましょう。業務開始が9時なら8時半くらいが目安です。
さらに送付は、当日参加した人だけのBCCメールやチャットにすると、不参加の人へ配慮できます。
力を入れる・抜くところを間違えない
気の進まない幹事でも「アイツは一味違う」と思われるメール術をご紹介しました。いかがでしたか?
PMO的に言えば、プロジェクトは、ゴールから逆算して考える必要があります。成功した時の状態をイメージし、タスクやスケジュールを綿密に計画していきます。
1つのプロジェクトには多くのメンバーや会社が関わりますから、どんな人にもしっかり伝わる言葉・内容が情報共有には求められます。
もちろん、何事も計画どおりにいくとは限りません。予測できるトラブルやリスクにできるだけ備え、柔軟に対応できる余裕を持ちたいです。
忘年会や新年会の幹事も同様です。皆が着席して会が始まる様子を具体的にイメージしてみてください。
どんなメールをいつ送れば分かりやすいか。皆が気持ち良く参加するにはどんな配慮が必要か。想定できるトラブルはないだろうか。
悩んだら「自分が参加者なら…?」と考えてみても良いと思います。
とはいえ、忙しい毎日。「力を入れるところと抜くところを間違えない」工夫も大切です。
メールは、ポイントを押さえて短期決戦で仕上げながらも、気持ち良く皆に参加してもらうために、配慮と丁寧さを心掛けてみてください。
少し大変な面もありますが、実際の仕事にも生かせるさまざまな力を身に付けられる絶好のポジションが幹事だと思います。
今回ご紹介したメール術が、年末年始の一大プロジェクト成功の一助となれば幸いです。
[文/甲州潤]
[参考]
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