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なぜ酒ではなく水が日本一売れているのかサントリー天然水担当者に聞く

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水に対する意識の変化や災害に伴う備蓄の重要性がブランド拡大に寄与

現在、サントリー天然水の水源地は南アルプス白州工場に加え、九州熊本工場(2003年)、奥大山ブナの森工場(2008年)、北アルプス信濃の森工場(2021年)の4つがある。

2021年5月に生産を開始した「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」の敷地内にあるブランド体験型施設

2021年5月に生産を開始した「サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場」の敷地内にあるブランド体験型施設

自然の恵みや営みから授かる天然水の採取は、水源が非常に重要となるわけだが、サントリーには水科学研究所という、水源探索や水にまつわる調査を担う専門部署があるという。

そこが、水質・水量はもとより、生物多様性や水源涵養機能(森林が本来持つ、水の資源を保全する働きのこと)の観点など、さまざまな角度から水源地に適しているかを吟味しているそうだ。

こうした後ろ盾があり、さらには「水道水よりも安心で美味しい水」という訴求を地道に重ね、天然水の清冽さを世の中に伝えてきたことが、ブランドの確固たる地位を築く要因となったのだ。

また、2011年の東日本大震災のような大きな災害も、水に対する意識や価値観が変わるトリガーになっている。

日常的に使う水はライフラインであり、人間の生命線となる必要不可欠なものだ。

災害時の断水は、命にも関わることであり、備蓄の需要性が問われるようになったのも、サントリー天然水のようなミネラルウォーターが求められる要因のひとつだろう。

「『水源が育む清冽な水』というイメージを作り、ブランディングを行ってきたことで、『サントリー天然水はすっきりしていて飲みやすい』という評判にもつながっています。今ではミネラルウォーターを買って飲むのは当たり前になっており、“インフラ化”しています。実際に、小容量よりも2Lの大容量ペットボトルの方が売れているんです。

家庭の冷蔵庫に入れておき、コップで飲んだりお酒の割り材として使ったりとする用途や、防災用の備蓄としてストックするために買い溜めしているなど、さまざまな日常のシーンでサントリー天然水が使われています」(佐藤氏)

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