落合陽一氏ら「超・東大脳」の異才のルーツとは?東大首席作家がひも解く
「社会でワークする学生を最低50人は育てる」
落合氏は、博士1年目でピクシーダストという記念碑的な研究を発表し、「現代の魔法使い」という賛辞をほしいままに。舘氏も、計算折り紙の第一人者としての名声を確立し、マサチューセッツ工科大学で世界的な研究者らと交流したことが大きな転機だったようです。
東大で博士課程を修了した落合氏は筑波大学に戻り、自身のラボをスタート。国の大きなプロジェクトの研究代表や学長補佐を任される中で、大学の枠組みを俯瞰的に見ることができました。大学から自分のベンチャーにスピンオフ、大学と共同研究契約を結んで再着任という新しい試みに取り組み、活躍の幅を広げていきました。
研究室を立ち上げる時に、「社会でワークする学生を最低50人は育てる」という目標を掲げ、すでにクリア。自身の力だけではなく、協力して社会を変えていくことを目標にしています。
誰もが「超・東大脳」になれる可能性が
舘氏は、東大総合文化研究科の情報・図形科学部会の助教に採用され、研究に専念しながら、講義をこなし、展示・イベントを企画、学会運営も行っていきました。その中での転換点として、国際的なコラボレーションが増えたことを挙げられています。
アメリカではNSF(National Science Foundation)によって折り紙の科学研究に巨大な研究費が投入され、多くの研究課題に挑む折り紙研究チームに声をかけられ、コラボレーションが多彩に広がったのです。
研究室では、学生がやりたい研究テーマを探すということを基本にして、一緒に考えていくそうです。学生を育てながら、自身の研究、折り紙の数理をさらに掘り下げていくということを掲げる舘氏は2022年春から異例の若さで教授となり、活躍の幅を広げています。
超多忙な日々の中で、考えたこと、作ったものを一緒に面白がれるコミュニティ、リスペクトを持って協働できる「仲間を見つけること」の大切さを語られるのは、2人の共通点と言えます。
自身の「やりたいこと・好きなこと」と向き合い、真摯に努力を続け、人との出会いを大切にすることで、誰もが「超・東大脳」となれる可能性を秘めているのです。
<TEXT/五十嵐才晴(オーグメンテッドコミュニケーションズ株式会社代表取締役)>