「給料ドロボーか!」部下を叱り飛ばす“パワハラ上司”が生まれるメカニズム
人が言葉や話し方“だけ”で動くことはあり得ない――。ならば、仕事や恋愛で、相手を思い通りに動かすためにはどうしたらいいか? その人が置かれた立場や環境などのシチュエーションが一定の条件を満たさない限り、「人が他人の言葉で動くのはあり得ません」と語るのは、経済評論家の上念司氏(@smith796000)。
著書『論破力より伝達力』でも、伝える努力の大切さを語っている。今回の記事では、「言葉が通じない厄介な上司」の攻略法について紹介する(以下、同書より一部編集のうえ抜粋)。
疑似家族にちやほやされたがる厄介な上司
私は「言葉が通じない人」には、ある種の傾向があるように思えます。仕事とプライベートを公私混同しがちで、社員を疑似家族のように思っている人が少なくありません。会社という疑似家族のなかで、自分が家父長になってちやほやされることで承認欲求を満たそうとしているのです。
つまり、普通の人のインセンティブが「お金」だとしたら、「言葉が通じない人たち」のインセンティブは「情」なのです。正直、どれだけ社員と仲がよかろうと、その人と本当の家族にはなれません。家族にならざるものに家族的なものを求めてしまうという悲哀と矛盾がそこにはあります。
彼らは、部下たちからちやほやされ、「すごいですね!」と褒められたいからこそ、頻繁に飲み会をやるし、休日に家族を家に招いてパーティーをします。
飲みにさえ行けば問題が解決する?
集団の「父」になるからこそ、家族のプライベートにも口を出すし、独身の社員にはパートナーを紹介するなど、とことん社員たちの世話を焼きたがります。悩んでいる人がいると、「悩みを聞いてあげれば社員のモチベーションが上がるはずだ」と思い込み、とりあえず飲みに行く。彼らは飲みにさえ行けば問題が解決すると思いがちなので、肝心の問題解決は先延ばしにされているケースも少なくありません。
そして、悩んでいる人のクレームがすべて社長に持ち込まれた結果、社長はかわいい社員の悩みを解決しようと頑張ります。しかし、なかには頑張ってもどうにもならないこともあります。そこでまた、「とりあえずみんな、飲みに行って仲よくして、絆を深めよう!」ということになり……。このような負の循環がずっと続きます。