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ベビー用品業界で“独り勝ち”の西松屋。撤退する他社との違いは「立地とコスト削減」

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ECの売上高が増加も全社業績を支えるには至らず

コロナ 不景気

 2020/3期は第4四半期におけるコロナの影響と天候不順により既存店の販売が不調となりました。赤ちゃん・子供向けのシューズ・ソックス類を生産する「中西」を子会社化したことにより大幅な増収となりました。しかし、前年同様、売上に見合わない販管費を抱えており、赤字が続きました

 2021/3期はコロナにより主力の既存ブランド店で10%近い減収幅なったほか、テナントショップは商業施設の臨時休業が影響し、売上が落ち込みました。巣ごもり需要に支えられたECの売上高は23%増えたものの10.6億円と全体売上高に対する比率は低く、全社業績を支えるには至りませんでした。

 翌2022/3期はさらに業績が悪化。度重なるコロナ波と緊急事態宣言によりインショップ、テナントショップ業態店がともに減収となり、EC販売も前年の反動で落ち込みました。実店舗の減収は大型商業施設に対する依存度が高いことに起因します

早々に実店舗を畳んでいれば…

 コロナ禍で追い風となるはずだったEC販売の落ち込みについては、同社の広告施策が失敗していることが考えられます。早々に実店舗を畳んで費用を抑え、捻出した資金をECにおけるキムラタンの認知度向上につなげていれば別の結果になっていたかもしれません。赤字が続いたため2022/3期末時点で自己資本比率が28.5%から3.8%と危険水準に落ち込みました

 今後について同社は、2022年末までに約220の店舗のうち210店舗を畳むとしており、すでに筆頭株主となっている清川浩志氏および、同氏がトップを務める株式会社レゾンディレクションの指導のもと、不動産事業に転換するそうです

 レゾンディレクションは企業再生を主事業としています。キムラタンは2023/3期業績について、売上高40億円・利益の黒字化を見込んでいますが、アパレル企業としてのキムラタンは幕を閉じることになります

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