今も愛される“浅草の遊園地”。新社長が目指す「夜の時間帯」の改革
コロナ禍で客層に変化が
コロナ禍で客層にも変化が生じており、若年層の来客が増えているそうだ。海外旅行など遠方へお出かけができず、近場で遊ぶ需要が喚起されたことで、東京近郊の若者が浅草へ来るようになったという。
「平日は着物を着てお越しになる若いお客様が多いため、時間指定の『フォトラクション』という催し物と、写真映えを意識した施策を打っています。また、客層の裾野を広げるために人気IPと絡めたイベントを開催し、集客効果を高められるような企画も考えていますね。ただやるだけではなく、花やしきらしい和テイストの雰囲気と合わせた形で展開し、愛着を持ってもらえるように工夫を凝らしています。
そして、ピンク色のマルハナ縁日やローラーコースターのゴール部分にあるお茶の間(運休時限定)など、SNSに投稿したくなるような写真映えスポットも設け、花やしきの面白さ、楽しさが人づてで伝搬していくような試みも行っています」
独特の怖さやスリリングがあるローラーコースター
そんな花やしきだが、一番人気のアトラクションは昔から定番のローラーコースターだという。最高時速が100kmを超えるジェットコースターがある一方、花やしきのローラーコースターは最高時速が42kmと低速なのが特徴だ。
低速ゆえに物足りないかと言えば、実は「独特の怖さとスリリングが人気の秘訣になっている」と西川氏は説明する。
「いわゆる本質的な絶叫系の乗り物ではなく、建造物の近くをローラーコースターが走るため、『壁にぶつかりそうで怖い』という別の怖さがあるんですよ。落差でも速さでもない、壁にぶつかりそうなすれすれのところを通るコースが、お客様に今でも愛される所以なのかもしれません」