今も愛される“浅草の遊園地”。新社長が目指す「夜の時間帯」の改革
保守的な、革新的な社員の共存を図る
その一方、社員とのコミュニケーションについては「いろんな人と対話するように心がけている」と西川氏は話す。
「最近ではオンラインの情報共有会を開催し、経営層と現場で意見交換したりと、コミュニケーションが円滑になるような働きかけを行っています。また、アルバイトの方とも積極的に話すようにしていて、不平不満を聞くようにしています。現場の声は何より大事ですので、そこから出たフィードバックや改善点を生かせるように工夫しています」
社員やアルバイト問わず、言いたいことを言える環境を整備し、風通しを良くする社内体制の構築に励んできたわけだ。人材教育についても「社員に成長意欲を持ってもらうために、ゴールを明確化することを大事にしている」と西川氏。
「長く在籍する社員は保守的、最近入社してきた社員は革新的な考えを持っていることが多く、そのまま両者が仕事をしても、単なる作業になってしまうんです。何かやることがあれば、必ず意義と目的を明確にした上で、仕事に取りかかれるように調整を図っています」
絶妙な古めかしさや立地の良さが強みに
しかし、近年は多くのテーマパークが登場し、生き残りをかけた競争が激化している。さらにはコロナ禍が襲い、インバウンド客も激減したことで、苦しい状況が続いている。
西川氏は花やしきのユニークな点について、「古めかしさの中にも、レトロ感やノスタルジックさを味わえる独特の雰囲気」を挙げる。
「劣化したテーブルや椅子、古びた乗り物など、歴史を物語る“花やしきらしさ”が園内の随所に感じられ、それが逆に懐かしさや趣の深さにつながっていると考えています。加えて、狭い敷地の中にアトラクションが複雑に絡み合う“カオス感”も花やしきならではの光景になっていますね。
あとは、立地に恵まれているのも非常に大きな利点と言えます。観光客が多く集まる浅草寺の横に位置していますが、全国を見ても観光地のすぐそばにある遊園地はあまり多くはないんです」