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女性の「子供ほしくない」は男性の2倍!識者が見た、若い世代の結婚観

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現場レベルではまだまだ追いつていない

高橋幸

高橋幸『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど:ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ』(晃洋書房)

 さらには、職場だけでなく家庭内の理不尽に関する不満の声が少なくないことも指摘する。

「データや報告書を見ていると、結婚前に口では『家事育児をやる』と言っていた男性も、『子育てのためにお金を稼がねばならない』というプレッシャーにさいなまれ、必死に働き、疲れて帰ってくると、なかなか家事育児をすることができないという状況にあるようです。

 このような状況に疲弊したり、モヤモヤした気持ちを抱えたりした女性がSNSで声を上げ、それらを見た若者が『結婚は大変なんだ』『仕事しながら子育てなんて無理』と考えてしまう。さらには『家庭って精神的な安らぎを得られるような場ではないんだ……』という思いを強めているというのが現状のように見えます」

性別役割からの脱却が求められる

「実際、出生動向基本調査のデータでも、“結婚の利点”として、『精神的な安らぎの場が得られる』と答える人の割合がこの20年で男女ともに低下しています。現在必要なのは、性別役割からの脱却です。結婚や子育てによって、女性は家事育児責任、男性は稼得責任が降りかかってくるという状況を変えていく必要があります」

 安定した生活を送るために無理に結婚を選択する必要がなくなり、結婚や出産を選ぶ必要性を感じなくなった女性は増えているのだろう。一方、雇用条件や経済状況が不安定であるために結婚や恋愛を諦める男性も少なくなさそうだ。性別役割分業的な発想を変えていかなければ、現状に歯止めが利かなくなるかもしれない

<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>

【高橋幸】
武蔵大学社会学部非常勤講師。専攻は社会学、専門は社会学理論、ジェンダー理論。主な論文に「ポストフェミニスト的言説パターンの登場とその特徴」「女性の外見的魅力をめぐるフェミニズムのポリティクス」など。著書に『フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど:ポストフェミニズムと「女らしさ」のゆくえ』(晃洋書房)

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている
Twitter:@mochizukiyuuki

フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど

フェミニズムはもういらない、と彼女は言うけれど

「もうフェミニズムに頼らなくても、女性だって活躍できる」 「女性差別がなくなった現代において、フェミニズムの時代はもう終わった」と彼女は言った。では、私やあなたの心のどこかに張りついている「女であることの不安」はいったいどこからくるのだろうか。――「女らしさからの自由」と「女らしさへの自由」、どちらも実現できる世界をともに目指すために

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