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リストラ断行&事業縮小のJALとANA。コロナ後の業績で世界との差が

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ANA:2025年度末までに9000人削減

ANA

ANAの飛行機 (C)Helgidinson

 競合のANAも同様に配置転換を実施する方針です。2025年度末までに航空事業の人員を2020年度比で9000人削減(3万8000人→2万9000人)するとしており、グループ会社への配置転換を行うほか、採用減によって人員を削減するようです。

 近年におけるANAホールディングスの売上高推移(2019/3期から2022/3期)は2兆583億円→1兆9742億円→7287億円→1兆203億円です。やはりコロナ禍の2021/3期に激減し、翌年度から回復していますが、2023年度は1兆6600億円を予想しており、完全には回復しないと見込んでいるようです。

 こうしたJAL/ANAの動きはいち早く航空需要が回復し、人員確保に奔走する欧米の航空会社とは対照的です。

半導体に商機を見出す航空機部品メーカー

「脱・航空」の動きは航空機部品メーカーでも見られます。特に同業界が期待しているのは半導体製造装置です。航空機部品は精密加工技術が求められますが、半導体製造装置も精密さが求められるため相溶性が高いといえるでしょう。

 すでに航空機部品と半導体製造装置用部品の両者を生産する企業もありますが、航空機向けに特化していた企業が半導体分野に参入する例も報じられています。市場レポートなどを発行する半導体分野の業界団体「SEMIジャパン」は経済産業省の協力のもと、航空機部品メーカーの半導体分野への参入を支援する活動を始めました。

 2022年12月に東京ビッグサイトで行われる半導体装置分野の展覧会「SEMICON Japan 2022」では、航空機部品メーカーのパビリオンを設置し、半導体関連メーカーとの接触の場を設けるとしています。経産省の関連省庁である中小企業庁も航空機部品→半導体分野への転換を目的とした「事業再構築補助金」の支給対象となる企業を募るようです。

 このように国支援のもと、航空需要の減少で苦しむ中小企業を救う動きがみられます。ちなみに半導体自体の製造(ファウンドリ)はTSMCを擁する台湾、サムスン電子の韓国がシェアを握っていますが、半導体を生産するための製造装置分野で日本は高い技術力を有しています

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