ゲーム大会に裸族の出没…元自衛官が語る“駐屯地の知られざる生活”
ちょっと間違うと他人のイチモツに接触
一般部隊であればゆっくり入ることができますが、陸曹候補生、幹部候補生、レンジャーなどの教育期間中は時間がないので「食事5分」「フロ10分」ぐらいの時間間隔が当たり前になります。大浴場にはみんなが入れる10分ぐらいの間に、汗まみれのますらお達がなだれ込むことになります。その様子は通勤時間帯の中央線であり、マッチョの通勤ラッシュと言っても過言ではありません。
ただ、ここで問題になるのが「脱衣スペース」と「荷物置き棚」の問題です。脱衣所の棚は少なく、場所も狭いので、服を脱ぐのも一苦労になります。裸で密集する男達の間をくぐり抜け、なんとか脱衣できそうなスペースを探索するのですが、ちょっと間違うと他人のイチモツに接触します。この状況はまさに「ますらおの“かなまら祭り”」です。
運悪くラッシュに巻き込まれ、祭りが開催された場合は、荒ぶる男達のゾウさんを避けながら慎重なステップで脱衣スペースまで移動する必要があります。太ももに誰かのムスコが当たることは、誰も幸せにならないので注意が必要です。
入浴は「さっと湯通し」
なんとか浴場に入っても、洗い場のシャワーは埋まっていることが多いです。そうしたときは、浴槽のお湯に直接風呂桶を入れて体を洗います。入浴というよりも「ジャガイモ丸洗い」という感じですが仕方ありません。
なお入浴時間10分は「浴槽に入れる時間が10分」ではなく「浴場に入って、脱衣して、体を洗って、入浴して、体をふいて、着衣して、浴場を出る」までが10分なのです。そのため入浴は「さっと湯通し」みたいな感じになります。博多ラーメンでいえば「粉落とし」です。
なお、レンジャー教育(破壊工作活動を行うゲリラコマンドの技能を身につけるために行う教育のこと)を受けている学生はさらに時間がないので、専用の浴槽が用意されていることもあります。レンジャー学生が来ると、隊員達は彼らのために道を開けます。
マッチョのますらおレンジャー候補生達が、モーセの海割りのように浴場になだれ込んでくるわけですが、この姿を見てやはり「ありがたい、ますらおの権化じゃ」と隊員達は心の中で思うのです。
<TEXT/元陸上自衛官 ぱやぱやくん>