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資金50億円が消滅か?上場IT「OKWAVE」がハマった“架空の儲け話”

ビジネス

34億円を預けた先が破産してしまい…

OKWAVE

※数値計画画像 決算補足資料より

 しかし、オウケイウェイヴの計画に具体的な成長戦略に関する言及は何ひとつありません。「サービスの提供を通じてありがとうの総量を増やしていくことを最重要テーマとする」という、抽象的な内容に留まっています。

 実は、オウケイウェイヴは事業売却で得た資金の一部である34億2900万円をRaging Bullに預け、運用を委託していました。オウケイウェイヴによると、Raging Bullは契約で定めた投資運用は行っておらず、他の投資者への支払いにあてていたことが判明したといいます。

 利益が15億300万円出ているとの説明を受けていたようですが、Raging Bullが破産したことにより、元金である34億2900万円と利益分15億300万円の合計49億3300万円が取立不能となる未来が濃厚となりました

 オウケイウェイヴは、主力となる事業と成長資金の両方を失ったことになります。

投資家を募っていたRaging Bull

 Raging Bullは、インド人のスニール・ジー・サドワニ氏が代表を務める会社。2010年2月に設立され、投資業を手掛けていたとされています。しかし、金融庁の金融商品取引業者等の一覧には登録されていません

 帝国データバンクによると、大手証券会社からIPOの特別枠を割り当てられたとして、新規公開株の買い付けを目的に投資家を募っていたとされています(倒産速報記事、4/19)。

 ロックアップ中に株式の処分ができないベンチャーキャピタルなどからRaging Bullが貸し株を譲り受けて投資家が取得。証券会社がその株式を高値で買い取るというものでした。ロックアップとは、大株主(創業者やベンチャーキャピタルなど)が、新規上場後一定期間、持ち株を売却しないよう制限を設ける自主規制のこと

 公開直後に大量の売り注文が出ることで、株価が下落することを防ぐ目的があります。ロックアップは証券取引法に規定されている「役員又は主要株主の不当利益返還」に関する規制の適用対象となるため、株主はこれに応じざるを得ません。

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