元リクルートの産業医が教える五月病対策。メンタル不調を示す4つの特徴
必要なら立ち止まってみよう
ここまでに挙げたような4つの状態のいくつかが、一時的に出ているだけなら、メンタル不調とは見なされません。症状があって、さらにそれがある程度の期間にわたって持続しているかどうかで、判断することになります。
仮に2週間以上続いているならば、放置せずにちょっと立ち止まってみましょう。しっかりとした休み方が必要なのか、日常生活に対する工夫をするべきなのか、場合によっては治療を始めるべきなのか、そういったことを考える状態と思っていただいたほうがいいでしょう。
まずは「ちゃんとダラダラ」休むこと
多くの場合は、心の不調を自覚する前に、体が悲鳴を上げていたはずです。忙しい毎日、その悲鳴や訴えに目をつぶって頑張り続け、ある限界値を超えてしまったから、心のほうに症状が出てくるのです。回復への第1段階として、ともかく「ちゃんとダラダラ」休むことから始めましょう。
そして、メンタル不調を自覚したら、仕事をしている方の場合は、仕事の量、人間関係を見直す必要があります。その段階で改善されれば問題ありませんし、難しいようなら、クリニックなどもうまく活用してください。診察によって、現状と経過を把握していき、医師に自分を支えてくれる伴走者になってもらうことで、回復への確実な道をたどっていけるのです。
クリニックを訪れる患者さんに、「私は、元に戻れるでしょうか?」と、よく聞かれます。僕は、「元には戻れません」と答えます。皆さん、絶望的な顔をします。僕は、言います。「前よりも、もっといい状態になりますよ」と。
たくさん悩んで、より良い自分になれることを、信じてください。
<TEXT/精神科医・産業医 尾林誉史>