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「気がおかしくなりそう…」 離婚問題に苦しむ女性に立ちはだかる“お金のリアル”

学び

離婚しても母子手当はもらえない?

離婚イメージ

「シングルマザーは児童扶養手当(母子手当)があるから安心のように思われがちですが、実は年収約300万円を超えると打ち切られるという所得制限があります。子どもが小さいうちは月22万円で生活できるかもしれませんが、子どもの成長や自身の老後を考えると、もう少し収入を増やしたいところです。そこで、私はキャリアアップについても考えるようお勧めしています。

 例えば、給与が現在よりは多い職場に転職をすることです。この場合は、シングルマザーとなった自分と立場が似ているような社員がいるのか否か、会社としてどのようなサポートをしているかを面談の場で確認してみるとよいのではないでしょうか。少なくとも、結婚している女性が少ない職場でシングルマザーとして働くと後々、苦しくなるようになるかもしれません

 あるいは、私のように資格を取ることをお勧めする場合があります。シングルマザーが利用できる資格取得のための支援制度も増えてきています」

明るく幸せに生きる姿を見せる

 最後に久保田さんは、こんなアドバイスをしてくれた。

「今回の事例の女性と同じように、私の事務所に相談に来る方も皆、悩み苦しんでいます。私もずいぶんと悩み抜きました。『子どものことを考えると離婚はできない』と話す女性もたくさんいます。お子さんが両親の離婚で傷つくことを考えると、その気持ちは痛いほどわかります。しかし、お子さんはきっと苦しんでいる母親の姿を見たくないと思っているはずです。

 お母さんが離婚後、少しずつでも前向きに、明るく幸せに生きる姿を見せることで、お子さんの気持ちも癒されていくように私は考えます。相談後に離婚された女性からは『大変なこともあるけど、苦しんでいた頃に比べれば、今のほうが断然幸せ』『子どもと一緒だからがんばれる』との声が寄せられています。この事例の女性にはそんなことを、ぜひお伝えしたい。あなたは悪くない、と言いたいですね」

<取材・文/吉田典史>

【久保田あきみ】
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー。保険会社を経て、テーマパークでバイリンガルセクレタリーとして勤務。結婚出産を機に退職。40歳で夫と別居。離婚を考えるも経済的な不安がぬぐえず、FP資格を取得。別居4年後に離婚し、開業。その後、社労士資格を取得し、大阪にて社会保険労務士として障害年金申請業務、FPとして家計や確定拠出年金のコンサルティングを行う。

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数

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