上司、部下、顧客…仕事上で出会う「話しかけにくい人」にはどう対応すればいい
「相手ベース」で対応を考える
「伝わる原則」は、相手にどう言えば伝わるのか、そのポイントをまとめたものです。たとえば、「相手ベース」という原則。こちらが言いたいことを言うのではなく、相手の立場や相手の視点を考えて伝えることで、コミュニケーションの質が向上します。
ほかにもさまざまな原則があります。「ファクトとメンタルの法則」「脳内チューニング」「フリとオチ」「セルフ問答」などなど。先の上司の例でいえば、感情的になる人には理由があります。その理由を考えてコミュニケーションをはからないと、うまくいかないはずです。
原則として知っておきたいのが、「相手ベース」はじめ、「伝える頻度」「聞く力」などです。特に「相手ベース」は重要なポイントです。自分が伝えたいことを言おうと一生懸命になって話している人がいますが、まったく相手に伝わっていないなんてことは、よく起きることです。話しかけづらい人であれば、その人の頭の中を想像しながら、コミュニケーションをとることが必要です。
「研究者視点」で相手をとらえる
また、避けたいのは相手に対し、こちらも感情的な対応をしたり、逆にびくびくした態度をとらないこと。こちらが感情的になると、さらに相手が感情的になるという負の連鎖を生む可能性もありますし、びくびくしてしまうとその自信のなさが相手の感情を助長させてしまうこともあるわけです。
そんなときにおすすめしたいのは「研究者視点」。相手と同じ階層に立つのではなく、相手を研究対象としてとらえるのです。
怒り出した相手に「人はなぜすぐ怒るのかを研究している脳科学者」になる。もちろん研修者視点はあくまでの頭の中だけであって、態度に出してはいけません。
頭の中を研究者視点にすると、目の前で起きている不快なことやネガティブなことも自分の学びに転換できます。たとえば、さまざまなクレームに対応している企業のお客さま相談室であれば、お客さまからのクレームは事業成長やサービス向上に結び付ける大切な材料になります。クレームをできるだけ価値があるものとしてとらえられるようになる。相手が怒っている場合は、その怒りの原因を冷静に検証して、今後に生かすこともできます。
そして、そういった思考がマイナスをプラスに転換させます。僕はこれを「ポジティブ価値化」と呼んでいますが、これを意識することも対策になります。感情的には、「なんでそんなことまで考えないといけないんだ」という心の声もあるかもしれませんが、それは相手のためではなく自分のためになるはずですし、自分の心を守ることにもつながります。
<TEXT/編集者 柿内尚文>