富士そばマニアが選ぶ「2021年心に残った珍そばメニュー」ベスト5。異色コラボも
2)ラクサそば:シンガポールのレシピをアレンジ
富士そばのメニューは「和食」という窮屈な枠組みに囚われない。異国の料理に着想を得たメニューは数知れず。
「ボンゴレパスタ風そば」「酸辣かき玉そば」「韓国風まぜそば」「タンドリーチキンカレーそば」……、洋食やアジアンフードのエッセンスをそばに融合させて、再構築。競合店では味わえない別次元の1杯に昇華する。ただし、味のほうも理解しがたい別次元に到達することもあるので要注意だ。
そんな異国風メニューのなかでも「ラクサそば」(680円)は一味違う。「ラクサ」とはシンガポールやマレーシア、インドネシアなどで親しまれているスープ麺のこと。日本のラーメンさながらで、地域によって独自のフレーバーが根づいている。
「ラクサそば」は、シンガポールのレシピをアレンジ。魚介出汁をベースにしてココナッツミルクや香辛料を加えたスープは、クリーミーでまろやかな味わい。
カレー風味のビスクといった趣きである。トッピングのゆで卵やカニカマ、厚揚げなども現地のレシピを意識したもの。また、本来であれば米麺を使うところだが、ここは富士そば。日本そばを使って我が道を貫いた。
実は国交55周年を記念したメニュー
ところで、なぜ数あるラクサのなかからシンガポール風を選んだのか。じつは、海外事業も展開する富士そばでは、シンガポールにも駐在員を派遣。当時の駐在員が現地で食べたラクサを富士そばでも提供しようと試みたことが出発点になっている。
また、日本とシンガポールの国交55周年を記念したメニューでもあり、開発にはおよそ5か月を要した。さらに、現地の伝統柄「バテック」を取り入れた専用どんぶりも用意。シンガポール大使館からもお墨付きを得ただけあって、上々の出来に仕上がった。