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仕事中にネットサーフィンが止まらない。気が散る理由を作業療法士が解説

学び

今やる仕事の資料だけ出す

 仕事や勉強を始めるとき、資料や教材を並べただけで疲れてしまい、やる気が出なくなります。これは、たくさんの課題を難易度の高い「冒険」と捉えてしまい、脳の覚醒度が下がってしまうから

 脳が最適な覚醒ゾーンに入るのは、自律神経の「腹側迷走神経系」が働いて安心感が生み出されているときなので、テキストならまず一冊だけ開いて、知っていることが書いてある問題に答えていけばいいのです

 やることがたくさんあって目にしただけでイヤになったら、脳に「ちょっと頑張ればできそう」という課題を提出してあげるつもりで、課題の見せ方を変えてみましょう。

書類を見るつもりが集中できない…

パソコン 男性

 パソコンで書類を見ていたはずが、ついついネットサーフィンで時間を浪費して後悔……なんてことは誰しもが経験していることかと思います。

 オフィスワーカーを対象にした調査で、「ディスプレイよりも紙のほうが没頭しやすく文章が読みやすい」という結果が出ています。

 要因として、紙の作業は両手で複数の文書を同時に処理できたり、操作位置への視線移動が不要という点や、集中を乱すツールバーなどの刺激がないことが挙げられています。

 もうひとつ考えられるのは、ディスプレイでの作業だとまばたきが減り、脳内で情報処理を行う「デフォルト・モードネットワーク」が機能しづらいという点。まばたきは一瞬ですが、脳内では情報をまとめる重要な役割があるのです

 どうしても集中できない場合は、書類は画面でなく紙で読んでみましょう。

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 正しい知識と科学的なアプローチを使えば、やる気や努力といった精神論に頼らなくても、行動習慣をちょっと変えるだけで「できない」と思っていたことが「できる」ようになり、仕事や日常生活のパフォーマンスがグッと上がるのです。

 今回提案した行動習慣を活用して「自分が頑張る」のではなく、「脳が頑張れる」環境を用意してみてください。

<TEXT/作業療法士 菅原洋平>

1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学を卒業後、作業療法士の免許を取得。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事したのち、現在は、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に行うベスリクリニック(東京都千代田区)で、薬に頼らない睡眠外来を担当。また、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修も全国で行っている

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