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「生き抜く力」を得られるサバイバルマンガ5選。天災、漂流、ホームレス生活

コラム

5:ホームレス体験を描いた漫画家の闘病記

『失踪日記』
作者名:吾妻ひでお
出版社:イースト・プレス

失踪日記

『失踪日記』

 1990年代初頭、作者である吾妻ひでおが、突如不安に駆られ衝動的に失踪し、街中でホームレス生活をした経験を描いたルポルタージュです。「無人島に漂着して、頼れる人間が他にいない」「文明が崩壊」「虫や動物を捕まえて食べる」など、これまで紹介してきたマンガに出てくるようなシーンが一切ない、一風変わったサバイバル(?)マンガ。

 むしろと穴だらけのシートを拾って林の中で夜を明かし凍死しかけたり、腐って発酵したリンゴで凍った手を温めたりと、内容は壮絶なのに絵柄やポップなギャグ表現でどこか明るく見えるホームレス生活。一度失踪先で警察に見つかり、家庭に戻るもまた失踪。ホームレス生活を続ける中、出会った人に誘われて配管工として仕事を始めてしまうなど、波乱万丈すぎて「さすがにフィクションでは…?」と思ってしまうほど。

 しかし一番のサバイバル術はこれらのホームレス生活というよりも、すさまじい鬱を抱え、自殺未遂の経験もありながら、2019年に69歳で亡くなるまで作者が生き延びたということに尽きます。『失踪日記』は作者のルポルタージュであると同時に闘病記でもあるのです。その後、アル中病棟への入院生活を描いた続編『アル中病棟』も必読。

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 以上、「生き抜く力」を得られるサバイバルマンガ5作品を紹介させていただきました。どれもマンガとして面白いだけでなく、実用的な知識を得られるマンガばかり。しかし、どんな知識よりも大事に持っておかなければならないものは、極限の状況でも「決して折れない心」だと思わされます。

<TEXT/総合電子書籍ストア「ブックライブ」 西村 葵>

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