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「補助的な仕事ばかり…」競争率150倍を勝ち抜いた28歳中途社員の不満

学び

人事のプロの回答②「雑用は奥が深い」

 さらに営業準備や会議補佐といった雑務についても「雑用は、奥が深い」と語る。

「例えば、交通費の清算をするのも雑用と言える。締め切りを守り、経理に提出する人がいる一方で、守れない人もいる。日頃からきちんと時間内で清算ができる人はいざというときに経理から配慮してもらえるかもしれない。

 雑用は同じ部署の社員のほかに、他部署の社員と接する機会にもなる。中途採用で入った場合、なおさら取り組むべき。どんどんとこなし、知り合いを増やしたほうがいい。そのほうが、仕事がはかどる」

人事のプロの回答③「着実な力を身につけるべき」

人事コンサルタント

人事コンサルタントの川口雅裕さん

 最後に川口さんは自らの体験をもとに、20代のビジネスマンにこうエールを送る。

「私は20代のころ、“小さな仕事ができないのに、大きな仕事はできない”と上司たちから言われた。その後、管理職や役員になり、この指摘通りと思う。十分な力がないのに大きな仕事をすると、危険。小さな仕事やつまらない仕事を繰り返してこそ、問題や課題を感じ取る感性が研ぎ澄まされる。

 男性は20代後半であり、まだ、花が開いていないのが当たり前。中途採用試験では今後の可能性を含め、評価され、内定となったはず。そのあたりは30代後半の中途採用とは異なる。30代後半以降は、得意と不得意がはっきりとしている。30代後半以降は得意分野で活躍しないといけない。20代後半ならば雑務も含め、たくさんの仕事をこなす中で得意ジャンルを見つけ、着実な力を身につけるべき。

 20代後半は同世代の昇進・昇格や給与、処遇が気になり、それをひけらかす者も現れる頃。実際は、そんな差はたいしたものじゃない。40代以降になればもっと大きくなるから。今は焦らずに、30代後半以降に大きな花を咲かしてほしい」

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 雑務はつまらないが、これらができない人は上司からすると、使いづらいはず。会社はこの、つまらないが、誰もができなければいけない仕事で成り立っている。こんなことを言われると、20代の頃、私はウザいと思っていた。だが、間違いなく事実なのだ。40~50代である程度の活躍をして頭角を現す人の多くは基本的な仕事がよくできている、と私は思う。雑務もまた基本。だからこそ、積極的に取り組みたい。

<TEXT/吉田典史>

【川口雅裕】
1988年、リクルートコスモス(現 コスモスイニシア)に入社。人事部門で組織人事、制度設計、労務管理などに携わる。2001年からは経営企画室で広報やIRを担当。2003年に独立し、多数の企業の組織人事コンサルティングを行う。NPO法人「老いの工学研究所」理事長も務める。最新刊『年寄りは集まって住め~幸福長寿の新・方程式』(幻冬舎)は8月26日発売

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数

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年寄りは集まって住め ~幸福長寿の新・方程式~

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