「お辞儀ハンコ機能」は存在しない。シヤチハタ“360度回転OK”電子印鑑の真実
「自由に押せること」が要望だった
では、「かたむけて捺印する」という機能は、お辞儀ハンコをはじめ、逆さハンコなど、いろいろな慣習に配慮したということだろうか?
「そういった慣習に配慮したというより、押す角度が変えられる機能をつけて欲しいという要望が少なくなかったと聞いております。また、『かたむけて捺印する』という機能は、お辞儀ハンコのためだけにあるわけではなく、使われる人が、それぞれに自由な角度をつけて押してもらえるようにするためです」
「かたむけて捺印する」機能は、どのぐらいの頻度で使われているのだろうか?
「これは私自身もわからないのですが、多い少ないということではなく、紙に押すときと同じようにデジタルでも自由に押せるようにしてほしいという要望にお応えしています」
電子印鑑ならではの強みとは?
最近は無料の電子印鑑ツールなどもある。シヤチハタの電子印鑑(110円~)はどんな強みがあるのだろうか?
「いつ、どのパソコンで印鑑を押したのかという『なつ印プロパティ』が残ることです。トラブル防止にもなります。また電子印鑑を作るときは、読みやすい字のほうが、“誰が押したか”など判断しやすく好まれるようです。たとえば、『楷書体』や『明朝体』などで、リアルなシヤチハタ印の場合だと『楷書体』がいちばん出ています」
シヤチハタのハンコのなかで、変わった機能を備えているものはあるのか。
「電子印鑑にはそういったものはありませんが、ビジネス印のリアルなシヤチハタ印なら、QRコードのハンコや押した日がわかる『日付も一緒に押せるハンコ』があります。それから、原本にスタンプを押してあっても、コピーすると印字されない非複写タイプのスタンプもあります。
また、小さなお子様のいるご家庭向けに、手洗い練習ができる『手洗い練習スタンプおててポン』や保育園に持って行くオムツに名前が押せる『おむつポン』といった商品もあります」
シヤチハタの「かたむけて捺印する」機能は、利用者にとって、お辞儀ハンコなどの謎ルールに特化してリリースしたわけではなく、「自由な角度で押したい」という要望やユーザーの利便性を最大限に考慮したものだった。
これからは、いわれなき批判が殺到しないよう「かたむけて捺印する」機能をぜひ使ってみていただきたい。
<取材・文/山内良子 画像提供/シヤチハタ>