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宝くじ当選者は半年後どうなる?人間に「ネガティブ思考」が必要なワケ

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一度の失敗が生死を分ける環境での価値観

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 あの怪しい影は猛獣ではないか? あの狼煙は敵の襲撃を知らせているのではないか? 仲間が冷たいのは裏切りの兆候ではないか?

 微かな異変を見逃さなかった者ほど、後世に遺伝子を残せたのは間違いありません。原始の環境においては、ネガティブな情報を敏感に察し、その記憶を長く保てた者ほど“適応”でした。

 他方でポジティブな情報には、ネガティブな情報ほど重みをつける理由がありません。たとえば「獲物が豊富な猟場があるが、そこでは過去にひとりだけ死者が出ている」ような状況では、その場での狩りを避けるのが無難でしょう。

 獲物が取れなくてもしばらくは生きていけますが、もし命を落としたら取り返しがつきません。一度の失敗が生死を分ける環境では、危険を知らせる情報の価値のほうが格段に重かったのです。

<TEXT/サイエンスライター 鈴木 祐>

科学ジャーナリスト。1976年生まれ。慶應義塾大学SFC卒業後、出版社勤務を経て独立。10万本の科学論文の読破と600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを重ね、多数の執筆を手がける。自身のブログ「パレオな男」で心理、健康、科学に関する最新の知見を紹介し続け、月間250万PVを達成。著書に『YOUR TIMEユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』『最高の体調』『科学的な適職』他ベストセラー多数

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