部下を「ほめるだけ」の上司のもとで、優秀な人材が育たないワケ
依存型の部下を成長させるには
話は変わりますが、自ら考え、行動し、しっかり報告してくれ、成果を出す……このような部下を持つことができれば、上司も文句は出ないと思いますが、現実はそんなに簡単にはいかないことが多いのではないでしょうか。
これと全く反対といってもいい「依存型部下」は現実に存在していて、上司の指示がないと全く行動できないという人も結構見かけます。
実はこのようなタイプは「何をしていいのか分からない」のではなく、「失敗したくない」というのが本質なのです。だから上司の指示以外のことをやりたがらないし、自ら動いて失敗した時の責任を取ることをとても恐れているのです。
これはいわゆる「自己イメージ」の欠如であり、自分という「人間」を信じることができないことから始まっています。このようなタイプと仕事をすると確実に上司の仕事は増えるし、ストレスも増えることとなります。
そこでこういう部下には「ピグマリオン効果」がオススメです。ピグマリオン効果とは「他人から期待を受けることで、期待に応えて成果を出そうとする」心理効果のことです。
「気づき」の提供が部下を伸ばす
これはアメリカ教育心理学者のロバート・ローゼンタール氏らが1968年に提唱した心理学の用語で、教師の期待のあるなしで、生徒の成績に変化があるかどうかの実験をしたところから始まります。
不特定の生徒にテストをさせて、その成績の点数に関わらず、教師からある一定数の生徒に対して「伸びしろが大きい」と声をかけたのです。面白いことに、この伸びしろが大きいという情報は実は全くのデタラメだったのですが、言われた生徒の事後調査で、ほぼ全員が実際に成績を伸ばしたのです。
この実験結果から「他者から期待される事によって、成長が促される」という結論が導かれたのです。
もしあなたの部下を成長させたいのであれば、ぜひ「君ならできる、期待をしている」という気付きを与えてください。そうすれば自ら成長するようになります。ただ進捗の管理を怠ってしまうと、すべて部下に丸投げされたと思われてしまうので、逐一指示するのではなく、ある程度の裁量を与えつつ、要所要所で進捗確認を取ることが必要です。