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福田麻由子、心が窮屈だった10代を経て感じた「この仕事の神髄」

暮らし

心が窮屈だった10代後半

女優

――それが大学進学へもつながったわけですね。でも、実際には1、2年生の頃は、仕事もほぼせず、学校にも行けない時期があったと。

福田:社会的に器用なタイプではないのですが、仕事の現場では、どちらかというと悪い意味で、器用になってしまうことがあって、特に10代後半がそうでした。自分のなかでは子どものころから、いい役者になりたいと思って、すごく努力して考えて進んできたつもりだったのですが、18歳くらいのとき、ふと「私ができるようになったことは、果たして本当に必要なことだったのだろうか」と思ってしまった。

 芝居には技術的なものも必要だけれど、それによって、どんどん心が窮屈になっている感じがしたんです。周りから見れば器用にやっているように映ったかもしれませんが、自分ではどこか空っぽな感覚に襲われていたというか。

――間違いのないように、はみ出ないようにしていってしまったのでしょうか。

福田:そうだと思います。何年も現場でお仕事をしてきて、だんだん自由にできなくなってしまった部分があった。でも最近はだいぶ図太くなって、「失敗してもいいや!」みたいな感覚になれました。そのくらいのほうが、本当に大事なところにたどり着けるのかなって。

今は30歳になるのが楽しみ

女優

――今のほうがパッションで向かえている?

福田:そうかも(笑)。すごく自由です。この映画からも教わったことですが、ドラマや映画って、この脚本なら、こう撮るよねみたいななんとなくの決まりというか、本来決まってないはずなんだけど、勝手に決めてしまっている部分があるんです。

 でも『グッドバイ』は、小規模な作品だからこそ、すごくイレギュラーな撮り方もあって、だからこそ広がる世界がありました。「映画を撮るって、これでいいんだ。これがいいんだ」と気づかせてもらった作品です。

――14歳に続き、ちょうど大学卒業にかかる時期も、女優として大きな影響を与えられた作品に出会えたんですね。今は楽になれましたか?

福田:この作品を経て、25歳くらいから、色んな意味で気持ちが楽になりました。現場でも最年少ということが、ほぼなくなってきて、ざっくり「大人のうちのひとり」になれた感覚です。いろんなことがシンプルになりました。大人になるって気持ちいいです(笑)。

 連続テレビ小説『スカーレット』では末っ子の役を演じましたが、こういう状況ももう本当に最後だろうなと感じました。下はもう存分にやらせてもらいましたので、次は大人としての楽しみを伸び伸びと感じたいです。もちろん同時に責任もありますが。今は30歳になるのが楽しみで仕方がないです。

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