東京都を提訴したグローバルダイニング、コロナ前から赤字続きだった
業績:コロナ以前より売上不振
続いて、グローバルダイニング社の財務指標推移を確認します。売上とそれ以外の金額の大きさが大きく異なるので、売上を右軸・それ以外の指標(営業利益・経常利益・当期純利益)を左軸として比較しました。
驚くべきことに、2007年12月期以降、定常的に最終赤字を出しており、時には営業赤字でもありました。昨年のコロナによる営業自粛の影響も重なり、2020年12月期には10億~15億円規模の赤字幅になっています。
2007年12月期以降、最終赤字が続いている理由については、事業報告書によると「収益性の低下により投資額の回収可能性が低いと判断」された店舗が毎年発生しており、その減損処理によるものが主因でした。ほかにも、マカオ子会社の事業整理(2010年12月期)・米国子会社の不振(2011年・2012年12月期)など、海外事業の進捗も思わしくないことがうかがえます。
そして、最終的には2020年12月期の第1四半期決算の時点(2020年4月30日)で「継続企業の前提に関する事項の注記(GC=ゴーイングコンサーン注記)」が付されることとなりました。これは「会社の存続についての重大なリスク」が認定されたときにつけられるものであり、すなわち注記がついた企業に「倒産リスク」があるということです。
したがって「注記がある企業」との取引を控えるケースも当然あります。コロナ流行以前から国内外ともに苦戦していたところに、追い打ちをかけられてしまった格好になっていると考えられます。
有価証券報告書からみえる現場
では、現場の雰囲気や働きやすさはどうでしょうか。今回は有価証券報告書・公式サイトの情報・各種判例などからその姿に迫っていければと思います。
まず、2020年12月期の有価証券報告書を確認しました。グローバルダイニングの平均年収は443万円です。連結の従業員数が185名、提出会社のみでも181名となっており、「グループ全体の給与水準」と言って差し支えありません。
令和元年の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円となっており、「日本の平均並み」と判断できます。
続いて、採用情報を確認していきます。上場企業の場合、飲食系であっても正社員とアルバイトスタッフの採用情報を分けていることがあるのですが、グローバルダイニングの場合は特に分かれていません。訴求ポイントも下記のように、アルバイトスタッフ募集と同様の内容でした。
・飲食未経験でも安心スタート
・プライベート重視で働ける
・月1回、時給アップのチャンス
・バラエティー豊かな仲間に出会える
・友達・家族と使える「社員割引」
・絶品まかない付き
したがって、他の飲食店アルバイトと雰囲気・福利厚生は大きく変わらないと考えられます。