アンダーヘア脱毛男子が急増中。その理由と、女性の意外なホンネ
美容目的だけでなく医学的にも合理的
脱毛経験者は脱毛後の生活に満足していたものの、施術に関しては「痛い」という感想が多かった。医学的には完全脱毛はアリなのか? 男性の総合診療を行い、医療脱毛も行う「神田西口クリニック」院長の板東ともあき氏はこう語る。
「ここ10年で医学的にも注目され、メリットが大きいといえます。毛があると蒸れてかゆみやにおいの原因になり、尿や大便が毛に付着するなど、衛生的にもよくない。最近はそういった理由から、将来の介護負担を見据えて50~60代の脱毛する方も増えていますね。
また、日本人男性は包茎の方が多いため、毛が包皮に絡んで陰部が傷つくことも防げます。性的な面では、密着面は増すでしょうが、オーガズムと因果関係があるわけではありません。ただ、ケジラミ症といった性病リスクを軽減できます。デメリットにはレーザー照射時の痛みや、レーザー照射後の皮膚炎や毛嚢炎の恐れがあります」
ヒゲ剃りくらいカジュアルな身だしなみに
社会的背景から考えても、男のアンダー脱毛は増えるといえる。「男性の脱毛が一般化するのは、40年前から想定内でした」と語るのは、社会学者の栗田宣義氏だ。
「女性が男性に従属を強いられる悪しき文化としての性差別が長らく続きましたが、近年大きく平等化が進み、女性側が男性を選ぶことも当たり前の時代になった。生き物としてのパートナー選択は、オスではなくメスが行うほうが実は自然なのです。
現在、ワイルドな男性よりキレイな男性を好む女性が増えたのは、選ばれる規準がお金や権力という社会的な資源から、ルックスという美と性に直接かかわる魅力に移ったからといえます。男性のアンダー脱毛は世界全体でも必然の流れで、日本で男女平等化が着実に進行しているサイン。
約15年後には、ヒゲ剃りくらいカジュアルな身だしなみになるはず。もしならないとしたら、日本の性差別は残存し、暗澹(あんたん)たる未来しかないと言ってもいい」