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現在も「地球平面説」を信じる人は多い。陰謀論が危うい理由をダースレイダーが語る

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陰謀論者がする非常に複雑な説明

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「Behind the Curve (Original Motion Picture Soundtrack)」※Amazonより

 例えば、Netflixで配信中の『ビハインド・ザ・カーブ -地球平面説-』(2018)というドキュメンタリーでもフィーチャーされていますが、天動説や地球平面説を信じる人たちが現在でも一定数います。平面の地球をドームが覆っていて、そのドームに天体が映し出されていることを証明するために、彼らは非常に複雑な説明をします。

 太陽が昇って沈む、月が昇って沈む、ということを簡単に説明できるのが天動説なんですが、こういった簡単な説明ではなく、複雑な説明をして「なぜなら世界は複雑なんだ」という物語的な答えを用意しているんですよね

 簡単に説明できるっていうのは、誰もが科学的に検証できるということ。陰謀論の場合、それを検証するにはそれを唱えている人たちにしか通じない論理構造での説明になってしまいます。これが今後どんどん広まっていくと、当然この近代社会はもたなくなる。

陰謀論が広がると近代社会のシステムが崩壊する

 陰謀論が「面白い」「いろんな考えがあるね」で済まないのは、近代社会はいろんな考え方の人たちが、ある程度の人数で社会を営んでいくという前提で回っていることが関係しています。このシステムの良し悪しとは別に、それを維持するのであれば、全員が同じ共通前提を持っていなければ成立しない。

 陰謀論は「すべては嘘なんだ。だけど自分が知っていることは本当なんだ」という方向に考えてしまうので、陰謀論の拡大は近代社会が崩壊する道筋に繋がっていると思います。そして、その先には「科学的な証拠・検証は価値がなくなる」という暗黒時代がやってくる。そうすると、陰謀論者が社会的な言い訳としてよく使う「まあ何が本当かわからないからね」が、現実になる。

 証拠になんの価値もなくなった世界は、何が本当かわからなくなる。なぜなら、本当というものを検証するベースを否定するから。これが陰謀論者のもっとも危険な考え方だと思います。

 これを防ぐには「世界で起こるさまざまな出来事に正解はなく、たまたまうまくいった奇跡的な偶然で秩序が保たれているにすぎない」と知ることです。そして本来の世界は混乱に満ちていて訳が分からないけど、それを説明してくれる都合のいい物語もなければ、突然明日何が起こるかも、自分の身に何が起こるかもわからない、でも目の前で起こっていることに対応もしながら、その偶然性に頼りながら生きていくという認識を持つのです。

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